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授業の内容(Course Description) |
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この特講では、観光施設としての日本におけるスキー場とその経営を取り上げて、歴史的にも空間的にも分析する。またスキー場開発のみではなく、観光がその地域や村落にもたらすさまざまな影響にも言及する。受講生にはそれを敷衍して地理学的手法を用いて観光集落や観光地の分析手法および研究方法の基礎を学んでほしい。 レクリエーションやレジャー活動の地域的展開に伴い、農山村においては、既存集落の変貌や新しい観光集落の形成が見られる。従来の農山漁村的生産活動が、徐々に多様化、高度化し、いわゆる観光集落が成立してくる。リゾートもそのひとつである。観光客の観光活動が、その集落の形成や発展において重要な役割を演じ、観光活動と集落がひとつの有機体としての機能をもつ場合を「観光集落」として位置付けることができる。このような集落について、その形成過程、成立の諸条件を検討することは、観光地研究のもっとも基礎的作業であると担当者は考えている。 またこの特講I およびIIでは、観光をどのように調べ、何を明らかにするのかについての手法を学ぶ。このために、文献を読んで紹介したり、希望者にはフィールドワークを指導し、研究のまとめ方やレポートの作成も学ぶことをとおして「修士論文の書き方」につなげたい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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地理学的手法を用いて観光研究の方法、また観光集落や観光地の分析手法の基礎を会得する。あわせてフィールドワークの方法、レポートや論文の書き方を学び、修士論文につなげる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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評価は出席状況と授業中の討論への参加、またレポートなどを総合して判定する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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とくに指定はしないが、講義中にプリント資料を配付する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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予習と復習に役立てるために、また受講生が講義の内容の理解を深め、知識を整理するために以下の書物の講読を薦める。 ・荒井政治(1990):『レジャーの社会経済史』 東洋経済新報社, 332p. ・John Urry(加太宏邦 訳)(1995):『観光のまなざし−現代社会におけるレジャーと旅行−』法政大学出版局,289p. ・ 岡本伸之編(2001):『観光学入門−ポスト・マスツーリズムの観光学−』 有斐閣, 370p. ・神田孝治編(2009):『レジャーの空間−視点とアプローチ−』 ナカニシヤ出版, 284p. ・神田孝治編(2009):『観光の空間−諸相とアプローチ−』 ナカニシヤ出版, 270p. ・日本村落研究会編(2008):『グリーンツーリズムの新展開−農村再生戦略としての都市・農村交流の課題−』 農山 漁村文化協会, 322p. ・酒井順子(2010):『日本観光ガイド』光文社, 276p.
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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授業のなかで教員と学生の間の討論を期待する。 希望する受講生には、夏休み中に野沢温泉で3泊4日(費用1泊1万円程度)のフィールドワークを実施する。講義とは別にその結果をレポートにまとめることを指導する。なお、草津温泉でのフィールドワークに参加した受講生には単位取得と評価に関して考慮する。さらに2月にも野沢温泉スキー場の見学ツアーを実施する。 講義の流れは概ね以下の通りであるが、進行状況によっては変更することがある。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 日本におけるスキー場とその経営の諸相 −その1− 【第2回】 日本におけるスキー場とその経営の諸相 −その2− 【第3回】 日本におけるスキー場とその経営の諸相 −その3− 【第4回】 日本におけるスキー場とその経営の諸相 −その4− 【第5回】 日本におけるスキー場とその経営の諸相 −その5− 【第6回】 フランスにおけるリゾート開発 −Languedoc-Roussillon地域開発− 【第7回】 日本にリゾートはあるのか? −日本のリゾートとリゾート法 その1− 【第8回】 日本にリゾートはあるのか? −日本のリゾートとリゾート法 その2− 【第9回】 日本とフランス(欧米)とのリゾート比較 【第10回】 リゾートや観光地の盛衰 −その1− 【第11回】 リゾートや観光地の盛衰 −その2− 【第12回】 論文の書き方−その1− 【第13回】 論文の書き方−その2− 【第14回】 論文の書き方−その3− 【第15回】 まとめと評価
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