Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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グリーンツーリズム論 松本  修
選択  2単位
【観光経営】 12-1-1130-2713-02

1. 授業の内容(Course Description)
 担当教員の生まれ育った町では、少し行くと町外れになり、その先には田んぼや畑が広がり、青い山々が見えていた。大学に入って東京に出て来た当初、いくら行っても町並みが続き、どこにも山が見えないことに息苦しさを感じた記憶がある。そのような育ちの者に限らず、田舎の環境には何か人をほっとさせるものがあるのではないだろうか。
 グリーンツーリズムとは、農山漁村地域の、自然と密着した生産活動の中で形作られた景観や人々の暮らしに魅力を見出し、それを対象とした観光のことであり、いわば「ふるさと」としての農村空間等との触れ合いにより、都市生活のストレスの解消、活力と健康の再生産を行う観光の形態である。
 同時に、このような観光においては、農村等にとっても、風土に根ざしたありのままの暮らしや景観を観光資源とすることにより、経済的、社会的に地域の活性化が図られ、それがまたその地域の魅力の再生産につながるという効果が期待されている。
 ヨーロッパ諸国では、農村地域の活性化、景観・文化の保持、バカンス滞在先確保等の見地から、農家民宿の提供が促進され、1970年代には都市住民の農村等への滞在が盛んになっていた。我が国でも、農業所得等の低下、過疎化、高齢化等により疲弊が進む農村等の再生策として、政策的にこのような形態の旅行が注目されるようになり、1990年代に入った頃から、その振興に向けての施策が採られるようになった。
 いずれにしても、都市と農村等の交流の中から双方にメリットが生じ、かつ、これが観光魅力の保全にも資するという観光形態は、持続可能な観光の在り方として興味深いものである。また、住民が当たり前のこととして普段気付かない地域の魅力を再発見し、それを上手に観光に利用するという考え方は、農村等に限らず、地域振興の方策一般へ応用できるのではないだろうか。
 この授業においては、このようなグリーンツーリズムについて、基本的な知識と理解を深めるとともに、学生諸君の興味の喚起を試みることとする。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 グリーンツーリズムについて基本的な知識と理解を得ること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業への出席状況を20%、期末定期試験の結果を80%として総合的に評価する。期末定期試験においては、主として、授業の中で述べたことや、教科書、配布したプリントの内容等に関連した出題をし、授業内容の日頃の反芻(はんすう)の度合いや理解度を見させていただく。授業への出席状況は、学生から特段の申し出のない限り、出席管理システムの記録により判定するので、入退室の際のカードリーダーへのタッチを励行されたい。また、授業中の私語等、授業の妨げとなる態度の目立つ学生は、評価を下げる。
 なお、期末定期試験の受験は必須であり、これを受験しない場合は、R評価となるのでご注意願いたい。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:向山秀昭 著『グリーンツーリズム論ノート』国際観光サービスセンター
      必要に応じて補足の資料を配布する。
 参考文献:山崎光博他 著『グリーン・ツーリズム』家の光協会
      富川久美子 著『ドイツの農村政策と農家民宿』農林統計協会
      鈴江恵子 著『ドイツグリーン・ツーリズム考』東京農大出版会
      青木辰司他 著『持続可能なグリーン・ツーリズム』丸善株式会社
      山田修路 著『むらとまちを結ぶフランス』家の光協会
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 何よりも予習・復習が基本である。特に復習は、授業終了後、記憶が新しいうちに授業内容のポイントを頭の中で整理するようにする。そのためには、走り書きしたノートについて、後で見ても読めるように乱暴な字を書き直したり、ポイントを要約して付記したりする等の整理を行うことも一法である。また、復習の中で、興味を感じた点等につき調べることも自らの勉学方法の確立と理解の深化のために良い。
 復習を溜めてしまうと、記憶が薄れ、かつ、分量がいつの間にか膨大になってしまい、試験の前に苦労するので注意すること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 インターネットを探ってみても、グリーンツーリズム的な観光メニューが各地で多く用意されている。グリーンツーリズムへの理解を深め、また、その実践の現状を知る意味からも、一度自ら楽しんでみられたら良いと思う。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
 授業開始後の状況に応じて適宜、計画を変更することがあり得る。
【第1回】
 授業方針及び講義計画
【第2回】~【第4回】
 グリーンツーリズムの概念
【第5回】・【第6回】
 グリーンツーリズムを促した背景(農村側の要因)
【第7回】
 グリーンツーリズムを促した背景(都市側の要因)
【第8回】~【第10回】
 諸外国のグリーンツーリズムの動向
【第11回】~【第13回】
 日本のグリーンツーリズム政策の推移
【第14回】
 日本各地のグリーンツーリズムへの取組み事例
【第15回】
 日本のグリーンツーリズムの課題