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授業の内容(Course Description) |
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経済成長の原動力は競争である。競争により、技術革新が進み,高品質の商品が廉価で提供され、経済が発展する。ソビエト連邦の崩壊から20年余を経過した現在、これに対する異論はないであろう。しかしながら、人間誰でも、商品の価格や数量を競争者と話あうことにより、一定の利益を確保したいという誘惑に駆られる。こうして、価格カルテルや入札談合等、独占禁止法違反が後を断たない。 独占禁止法は、競争制限を禁止し、公正かつ自由な競争を促進する目的で制定された。違反を結果として取り締まるだけでなく、萌芽の段階で競争制限の芽を摘むことにも注力する。 経済法Aでは、競争を実質的に制限する『私的独占』と『不当な取引制限』を学んだが、経済法B(経済法Ⅱ)の講義は将来競争を実質的に制限することとなる『不公正な取引方法』の禁止を主たる対象とする。今年問題となった、いわゆる『コンプ・ガチャ』の議論もこの分野に属する。 身近な問題が多く、かつ私的自治を原則とする古典的な『私法』の領域とは、考え方がかなり異なる。 法学部学生はもとより他学部の学生の受講をお勧めする。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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経済法Bは、「不公正な取引方法」及びエンフォースメント(執行・実現)の概要を理解することを目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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第8回又は9回講義で中間テスト、第14回又は第15回講義で期末テストを実施する予定。テストの成績を中心に出席状況を若干加味して評価する。詳しくは第1回講義で説明する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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プリントを適宜配布する。 参考文献…根岸 哲・舟田 正之『独占禁止法概説』又は白石忠志『独禁法講義』共に有斐閣のいずれかを参考にすること。 (独占禁止法の今学期講義対象部分は近年大幅に改正されているので、上掲参考書は最新版、六法全書は23年版又は24年版を使用すること)
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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配布資料に沿って復習し、余裕があれば参考文献の該当個所を精読すること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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講義中に条文を引用し確認するので、必ず『六法』(23年版又は24年版)を持参すること。『六法』は、テストの際にも「持込み可」とするので、絶対に必要である。 講義中の入退室と私語は、講義の進行と他の学生の聴講の妨げとなるので、厳に慎むこと。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 春学期の復習 【第2回】 入札談合 【第3回】 事業者団体 【第4回】 不公正な取引方法の総説 【第5回】 差別的取扱い 【第6回】 不当対価 【第7回】 不当な顧客誘引・取引の強制 【第8回】 事業活動の不当拘束 【第9回】 取引上の地位の不当利用 【第10回】 取引妨害・内部干渉 【第11回】・【第12回】 エンフォースメント 【第13回】 独占禁止法の適用除外 【第14回】 市場経済に対する国家の関与 【第15回】 秋学期のまとめ
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