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授業の内容(Course Description) |
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本講義では欧州の経済に関連する法律を採りあげる。昨今、「ユーロ危機」という言葉は連日のように新聞でみかける。「ユーロ」は欧州連合(EU)の共通通貨である。欧州連合(EU)には現在欧州27カ国が加盟しており、そのうちの17カ国が、共通通貨「ユーロ」を使用している。27の加盟国は主として経済・通商に関する自国の主権を、そのうちの17の加盟国は通貨に関する主権も合わせて、条約で欧州連合(EU)に委譲している。そのため、経済・通商に関しては加盟国ではなく欧州連合(EU)が主権を行使することができ、あたかも一つの国のようである。そのうちの17の加盟国は、通貨に関しても深く結びついている。 以上からも判るように欧州連合(EU)の法律は実体面では経済・通商・通貨に関する法律を中心として、それを実施する組織、手続等を定めた法律からなる。この講義は、経済法特講A及びBを通して、欧州連合(EU)の通貨制度を支える法及び経済政策の骨格をなす市場統合・競争法の実例を解説しようとするものである。競争法の領域では、近年わが国企業が高額の制裁金を課される例が多いので、関連する判例を重点的に採りあげたい。 そのためには欧州連合(EU)の概要を理解する必要があるので、「経済法特講A」では、欧州連合(EU)の沿革、制度、「ユーロ危機」等の時事問題の解説を中心に講義を行う。法律以外に関心をもつ学生の受講も歓迎する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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経済法特講Aでは、国際機関が連邦国家に近づいていくプロセスを、歴史的又は地理的な視点をもって学び、欧州連合の主要な制度を理解する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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第15回講義時に期末テストを実施し、その成績に出席状況を勘案して評価する。テストは、受講者が最も関心をもつ事項について所定時間内に1000字程度で要約する形式とする。テーマは本学期の講義の範囲内であれば別段の制限を設けないので、日頃より興味のある事項を掘り下げて勉強することが望まれる。但し、資料の持込みは不可。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:藤井良広『EUの知識』日本経済新聞出版社 その他、プリント等の資料を適宜配布する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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テキスト及び配布資料を通読すること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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アジアでも将来的には地域統合が生じる可能性があるから、身近なものと考えて勉強して下さい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義の進め方 【第2回】 欧州連合(EU)の概要 【第3回】 欧州連合(EU)条約の目的 【第4回】 歴史及び地理的背景 【第5回】 欧州石炭鉄鋼共同体から欧州連合への展開 【第6回】・【第7回】 機関 【第8回】 EUと加盟国の関係 【第9回】 法源と裁判制度 【第10回】・【第11回】 ユーロ危機の背景 【第12回】~【第14回】 地域統合の展望 【第15回】 まとめとテスト
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