Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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金融商品取引法A 藤原 啓司
選択  2単位
【法律】 12-1-1210-1868-01

1. 授業の内容(Course Description)
 震災の影響や欧州の金融不安・円高に起因する株価の下落、国債の格付けと財政の健全化の成否、証券取引所の統合や商品取引も含めた総合取引所構想など、証券市場(金融商品市場)の動向は、ホットな話題の的となっている。有名企業の有価証券報告書の虚偽記載の問題やインサイダー取引等の不公正取引も、マスコミを賑わせている。未公開株詐欺などの投資家被害の事例も、跡を絶たない。
 金融商品取引法は、「市場の法」として、こうした幅広い問題を守備範囲に持っており、企業に関わる法の一部門としても、近年、その重要性はますます高まっている。
 他方で、金融商品取引法は、ボリュームが大きく、条文が難解と言われており、また、その理解のために、会社法、行政法、刑法などの関連知識が一定程度必要とされる。
 講義では、金融商品取引法を構成している主要な制度の成り立ち、基本的考え方を中心に解説するが、必要に応じ、条文解読のための基礎知識について説明するとともに、会社法等を履修していない者のためにも、関連する法分野について簡単に触れていく。
 前半のAの講義では、有価証券の定義等の総論的部分と有価証券の発行・流通に係るディスクロージャー制度、企業買収等に係る公開買付け(TOB)、株券等の大量保有報告(5%ルール)までを取り扱う。この法律の全体を理解するためには、秋期の「金融商品取引法B」と通して聴講することが望ましい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 法律に規定されている諸制度が、どのような事象を背景に、どのような考え方で成り立っているのか、を習得するとともに、社会の動きにどのように関わっているかを理解できる(例えば、日経新聞の記事を読んで、おおよそ何が問題になっているのか、が分かる)ようにすることを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末の試験を基本とする。これに、出席状況も加味する。
 また、新聞記事や雑誌の論文をもとに、レポートの提出を求める(ごく簡単なもの。数回)等により、受講生自身の努力の成果を評価に反映させることとしている(出席していないと、レポートが課されたこと自体を知らないままに過ぎてしまう等のことがあるので、要注意)。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:黒沼悦郎『金融商品取引法入門』(日経文庫)
 出版後の法令改正についても、適宜、補足する。
 なお、参考文献は、授業の中で紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 毎回の授業で、次回の説明項目を予告するので、テキストの該当箇所にひとわたり目を通しておくこと。
 受講後は、出てきた条文をもう一度、手持ちの六法で確かめておくこと(金融商品取引法Aで扱う条文は、小さい六法でも収録されていることが多い)。収録されていない条文は、総務省が運営しているインターネットの「電子政府の総合窓口」の「法令データ提供システム」を検索することにより、調べることができる。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日々のニュースや解説記事等に常に関心をもって接すること。
 特にこの分野は、毎年のように法改正等があるなど、書物だけでフォローし切れないところがあるが、授業では最新の状況についても説明していくので、授業には出席すること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】・【第2回】
 金融商品取引法とはどのような法律家か
【第3回】~【第5回】
 金融商品取引法の適用対象――有価証券とデリバティブ取引
【第6回】・【第7回】
 金融商品取引法の世界に登場する主体――投資家、金融商品取引業者など
【第8回】~【第11回】
 企業内容等のディスクロージャー制度――有価証券の募集・売出し、有価証券報告書など
【第12回】~【第14回】
 企業買収と金融商品取引法――公開買付制度(TOB)、大量保有報告制度(5%ルール)
【第15回】
 まとめ、この時点までの法改正の動き等
 《注》進行状況に応じて前後することがある。