Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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行政法B
(行政法 I)
飛弾 直文
選択  2単位
【法律】 12-1-1210-1974-02

1. 授業の内容(Course Description)
 行政は、国の安全から産業の発展、環境の保全、福祉の推進、公共施設の整備など、我々の日常生活、社会生活の隅々にまで関わっています。そしてこの行政は、我々国民の権利や自由を制限する側面と、国民生活の基盤をつくりあげていく側面と、ふたつの面をもっています。こうした行政活動に根拠を与えるとともに、逆にまた行政をコントロールする役割を果たしているのが行政法と呼ばれる数多くの法律です。
 行政法の講義では、これら行政に関わる法律に共通する基本原理を習得するとともに、その原理に関わる基礎的な制度、仕組みを学ぶこととしています。
 行政の果たす役割がますます大きくなり、その幅も広がっている現代において、行政は我々の生活と切り離すことができないほど密接な関係をもっています。行政法を学んでおくことは現在の行政を法的な面から理解する上で欠くべからざるものであり、またそこで培った知識は社会的な問題に関わるときにも活用できるものです。
 この行政法Bでは、まず行政指導と比較的新しい問題である情報の問題をとりあげ、続いて行政を手続面、内容面からどのようにコントロールしていくかを論じます。次に、行政法後半の大きなテーマである、違法な行政活動が行われた場合、それをどう是正できるのか、また行政活動で国民が損害を受けた場合その損害はどう償われるのか、という観点から行政争訟、国家補償の制度について説明していきます。なお、近年行政を取り巻く環境は大きく変化しており、行政法もこのことを反映して変貌をとげてきています。この点にも言及しながら講義を進めていきたいと考えています。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 行政法総論の後半について理解を進めるとともに、行政争訟、国家補償について基礎的知識を習得すること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末試験に出席状況も加味します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:曽和俊文・山田洋・亘理格 著『現代行政法入門第二版』(有斐閣)
 法律学の勉強には、判例の研究が欠かせないものであるので、次のものを参考書として挙げておきます。
 参 考 書:小早川・宇賀・交告編『行政判例百選Ⅰ(第5版)』及び同『行政判例百選Ⅱ(第5判)』(有斐閣)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 (1)指定したテキストを事前に読んでおくことが理解と知識の習得につながります。
 (2)講義の内容を、テキストで改めて確認しておくことは、理解を深め、知識を定着させるのに最も有効です。心がけて下さい。
 (3)できるだけ新聞に広く目を通すとともに、特に行政に関する記事は関心を持って読んで下さい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ずテキストと六法を持参すること。常に六法を携行することは、法律を学ぶ基本です。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 行政指導
【第2回】
 行政活動と情報、個人情報の保護
【第3回】
 情報の公開
【第4回】
 手続面でのコントロール(1)
【第5回】
 手続面でのコントロール(2)
【第6回】
 実体法的コントロール(1)
【第7回】
 実体法的コントロール(2)
【第8回】
 行政救済法の体系と行政上の不服申立制度
【第9回】
 取消訴訟(1)
【第10回】
 取消訴訟(2)
【第11回】
 取消訴訟以外の抗告訴訟
【第12回】
 その他の行政訴訟
【第13回】
 違法な公権力の行使による賠償責任
【第14回】
 営造物の瑕疵に基づく賠償責任
【第15回】
 損失補償制度及び谷間の救済