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授業の内容(Course Description) |
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日本文化史上のユニークな「思想家」として聖徳太子、空海、親鸞、道元、日蓮の五人を中心に取り上げ、彼らを生み育んだ文化的条件、また、その思想と事蹟が日本文化に与えた影響について学ぶ。さらに、この思想家たちの「哲学的思考」のエッセンスを取り上げ、現代に通じるメッセージを見出す。 春学期には、これら五人のライフヒストリーに注目し、当時の文化的背景、後世文化への影響、現代に再評価すべき哲学・思想のエッセンスについて、基礎的知識を培う。さらに映像授業も取り入れ、多角的な理解を促進する。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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聖徳太子、空海、親鸞、道元、日蓮の哲学的思考のエッセンスについて、授業内で学んだ内容をふまえた上で自らが独自に考えた感想を交え、1000字以上の考察をまとめる力を身につける。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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授業参加(60%)、授業内試験(40%)を目安とする。なお、授業内試験のテーマは試験の1~2週間前に発表する。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト・参考文献は講義中で紹介する。必要な資料はプリントで配布する。
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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後に取り上げる思想家と比較しながら考察を深めるため、先に取り上げた思想家に関する講義ノート・配布資料を順次復習していく。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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「過去の思想家の思考のなかに未来へのヒントがある」ことを発見して欲しい。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 「聖徳太子から日蓮まで―日本文化史上のユニークな「思想家」たち」 聖徳太子、空海、親鸞、道元、日蓮の「哲学的思考」を学ぶ意義について概説する。 【第2回】 「日蓮―心の哲学(1)」 大震災を経験し、元寇を予言し、中国天台宗の開祖・智顗(ちぎ)の思想を独自に発展させた日蓮の哲学的思考に着目し、同時代の日本社会に与えた影響について学ぶ。 【第3回】 「日蓮―心の哲学(2)」 「事(じ)の一念三千」という先進的な認識論を展開した日蓮が、後世の日本社会に与えた影響について学ぶ。詩人・宮澤賢治の「雨ニモマケズ」手帳等も取り上げて分析する。 【第4回】 「聖徳太子―海外の師とサクリファイス」 諸思想の国際的な受容の観点から、聖徳太子が探求した思想内容と日本文化の関係を考察する。 【第5回】 「聖徳太子―法華経テキストの魅力(1)」 日本文化に大きな影響を与えた法華経から、三車火宅、常不軽菩薩の思想について考察する。 【第6回】 「聖徳太子―法華経テキストの魅力(2)」 日本文化に大きな影響を与えた法華経から、地涌の菩薩、永遠のブッダの思想について考察する。 【第7回】 「空海―謎の空白期間と留学」 大学中退後、留学まで一二年間の空白期間と三教指帰の関係を通じて実践と知的探求の結びつきをめぐる空海の思想と行動を探求する。 【第8回】 「空海―生命のことば」 理趣釈経をめぐる最澄との葛藤を通じて実践と知的探求の結びつきをめぐる空海の思想と行動を探求する。 【第9回】 「親鸞―青木新門『納棺夫日記』」 絶対的な救いと温かみのある人間関係の間を往還した親鸞の思想と行動、およびその後世に与えた影響について学ぶ。また、アカデミー賞外国語映画賞作品『おくりびと』の原作を取り上げる。 【第10回】 「親鸞―妻を想い、夫を想う」 妻・恵信尼との関係に注目し、親鸞の思想と行動、およびその後世に与えた影響について学ぶ。 【第11回】 「道元―出会いと別れ(1)」 中国人の料理人である老典座との出会いに着目しつつ、その日本文化に与えた影響について学ぶ。 【第12回】 「道元―出会いと別れ(2)」 天童寺の師・如浄など、道元の人生における出会いと別れに着目しつつ、その哲学的思考と実践の転機と深まりについて学ぶ。 【第13回】 「調整日」 聖徳太子、空海、親鸞、道元、日蓮の思想・行動と日本文化の関係について学ぶ意義を再考する。 【第14回】 「総合解説・授業内試験」 【第15回】 「答案返却・全体講評」 *以上の順序は入れ替わる可能性がある。また、研究や社会状況、国際情勢の変化に応じて、新しいトピックを加えることがある。
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