Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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児童生徒の心の理解とケア 新倉 アキ子
必修  2単位
【教職大学院】 12-1-1331-1860-03

1. 授業の内容(Course Description)
 授業は、複数の教員によるティーム・ティーチングの形態で行う。
 児童生徒理解及び教育相談の基礎的な内容や方法、援助資源アセスメントの実際、関係諸機関との連携・協働等について理解し、日常の教育活動に教育相談の姿勢・態度を活かし、個に応じて適切に指導する実践力の育成を目指す。
 児童生徒を理解する意味や方法についての理解を深め、子どもの心に寄り添ったケアを実践できる能力を受講者自ら開発する。また、児童生徒が抱える課題や困難の背景要因を把握・理解するための心理教育的アセスメント、教育相談・カウンセリングの方法・技法について習得する。
 特別支援教育への取組を充実するために、障害がある子どもたちの状態について専門的に理解するとともに、特別支援教育を推進する学校の校内体制や指導上の課題等について把握する。
 更に、学校内における教育相談体制、教職員・保護者・地域との連携・協働のあり方、特別支援教育や理解教育を推進する立場として、校内においてどのようにマネジメントしていけばよいかについて考察する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
<A類学生>
 ・児童生徒理解及び教育相談の基礎的な内容や方法、援助資源アセスメントの実際、関係諸機関との連携・協働等について理解し、日常の教育活動に教育相談の姿勢・態度を活かし実践できる。
 ・特別支援教育の意義と内容を理解し、個別の教育支援計画を立案、実践指導に具体的に生かすことができる。
<B1類学生>
 ・児童生徒理解及び教育相談の進め方や、心理教育的アセスメントの技能を高めるとともに、関係諸機関や地域と連携した教育相談体制を組織し、校内のコーディネーターとして、他の教員に指導助言できる。
 ・特別支援教育における校内支援体制を組織し、関係諸機関との連携・協働を進めるとともに、専門的な理解と情報に基づいて、他の教員に助言・指導することができる。
<B2類学生>
 ・保護者・地域・関係諸機関との連携・協働を視野に入れた教育相談のあり方について理解を深め、児童生徒理解と教育相談の高度な技能を習得し、学校や教育相談担当教員に対して適切に指導助言することができる。
 ・特別支援教育についての支援体制を整備するとともに理解教育を推進して、学校・教職員に対して、家庭・地域・関係諸機関との連携・協働の実践に裏付けされた指導助言をすることができる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 児童生徒理解、心理教育的アセスメント、教育相談、特別支援教育に関する理解度(報告、レポートなど)と、演習に取り組む姿勢と意欲を基に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト
  特定のテキストは使用しない。
 参考書
  福澤・石隈・小野瀬(編著)「学校心理学ハンドブック」 2005 教育出版
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 子どもの心を理解するとは?適切な支援を行うのは?教職大学院では、この授業以外にも多くの実践の機会があるので、そこで本講座の内容を反映できるようつとめてほしい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 子どもを理解すると言うことはとりもなおさず、自分の内面を見つめることでもある。単に知識だけで終わらないよう、日頃から自分の感性を高める努力をしてもらいたい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 児童生徒を理解する意義
  子どもの内的過程や行動の奥にある意味、そうせざるを得なかった必要性や困り感を理解することの重要性を理解し、児童生徒との信頼関係を確立するために教師に求められる能力について考察する。
【第2回】
 子どもたちの教育的ニーズと教師の役割
  学校には、障害のある子を含めて、様々な教育的ニーズや課題を児童生徒がいることを理解するとともに、そうしたニーズに教師としてどのように対応していくべきかを討論を通じて考察する。
【第3回】
 多様な教育的ニーズへの対応
 ・多様な教育的ニーズを持つ子どもたちへの個別的・集団的対応の仕方について、実践事例を基にして学ぶ。
 ・A類学生は、刊行されている事例集や研究誌・書籍に記載されている対応実践事例(カウンセリング、グループアプローチ等)について調べ、それらの意義と限界について報告して理解を深める。
【第4回】
 自助資源と援助資源のアセスメント
 ・子ども自身が有する自助資源の意義を学ぶとともに、学校内外の人的・物的援助資源をアセスメントする方法と活用する技法を習得する。
 ・A類学生は、学習面、心理・社会面、健康面の心理教育的アセスメントの方法・技法を調べ報告する。
 ・B1/B2類学生は、心理教育的アセスメントに基づいて、指導方針と目標・仮説が立てられ、援助計画を立案していく過程を報告する。
【第5回】
 学校における教育相談の意義と方法
  教育相談の意義や方法等の論理的根拠を学び、カウンセリングマインドの本質について理解する。
【第6回】
 学校における教育相談の進め方
 ・学校における教育相談・カウンセリングの進め方について、理論的背景と諸技法ついて、ロールプレイを行って体験的に理解を深める。
 ・A類学生は、教育相談やカウンセリングの専門家が理論的背景とする代表的は理論(クライエント中心療法、分析心理学)について調べ、人間観や技法の異同について報告する。
【第7回】
 学校における教育相談体制
 ・学校における教育相談体制やチーム援助、更にはコンサルテーションのあり方について検討し、図式化して理解を深める。
 ・B1類学生は、教師・保護者へのコンサルテーションの実践事例を報告して、その意義について考察する。
 ・B2類学生は、管理職へのコンサルテーションのあり方について考察する。
【第8回】
 スクールカウンセラーの役割
 ・臨床心理士等の教育相談に関する外部の専門家によるスクールカウンセリングの実際と、学校におけるスクールカウンセラー等の役割や課題と教師との連携・協働のあり方について理解する。
 ・B1/B2類学生は、教師とカウンセラーの異同、スクールカウンセラーとの連携・協働状況を調べ、スクールカウンセラー活用のあり方と課題を報告する。
【第9回】
 特別支援教育の意義
  特別支援教育の理念、特別支援学校の位置づけ、教員免許制度の変更など、多様で特別な支援を必要とする児童生徒を巡る制度・動向等についての理解を深める。
【第10回】
 特別な支援を必要とする子どもたち
  LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー症候群等について、専門的な立場からの講義をもとに、個別の特性と指導との関連についての理解を深める。
【第11回】
 学校における特別支援教育
 ・実践事例等を通じて、特別な支援を必要とする児童生徒の状況や指導上の課題を把握するとともに、通常学級や特別支援学級における指導や校内体制のあり方、理解教育の進め方について理解する。
 ・B1/B2類学生は、通常学級の中の発達障害への支援実践事例ついて調べ報告し、講評する。
【第12回】
 個別の教育支援計画
 ・障害がある児童生徒の支援・指導をより充実させるための個別の教育支援計画の具体例を学ぶとともに、指導計画・方針及び目標・仮説と実践の流れを理解し、個別の教育支援計画を立案する。
 ・A類学生は、個別の教育支援計画の模範例を調べ立案されるプロセスをプレンゼンテーションする。
【第13回】
 校内の支援体制
 ・模擬校内委員会における協議、模擬校内研修会の進め方を通して、校内の支援体制づくりの必要性と、管理職や特別支援教育コーディネーターの役割について体験的に学ぶ(ロールプレイ)。
 ・B1/B2類学生は模擬校内委員会、模擬校内研修会における推進者あるいは助言者の役割を演じる。
【第14回】
 理解教育の推進
 ・学校における特別支援教育の進め方を整理するとともに、理解教育の推進を図るために児童生徒・保護者・地域住民を対象とした模擬説明会を実施する(ロールプレイ、ワークショップ)。
 ・B1/B2類学生は、模擬説明会において、理解教育の要点をわかりやすくプレンゼンテーションする。
【第15回】
 関係諸機関との連携・協働
  教育相談や特別支援教育に関わる専門機関あるいは教育支援センター(適応指導教室)等の見学をし、それら関係諸機関から学校への要望等を聞き取り、学校との連携・協働における課題について理解する。