Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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個が生きる学級集団づくりと実践研究 矢野 英明
選択  2単位
【教職大学院】 12-1-1331-1874-05

1. 授業の内容(Course Description)
 授業は、二人の教員によるティーム・ティーチングの形態で行う。
 学級に所属する児童が孤立することなく、自由と規律を大切にした学級をつくるために必要な専門的な知識や教育技術などの習得をめざす。個と学級集団の望ましいあり方について文献や先進校の実践事例から学ぶとともに、今日の児童の実態や生育環境等への考察を踏まえて学級集団づくりの課題を捉え、学級担任に求められる理論的な知識や実践的な技能について議論しながら研究を深め、安定した学級集団づくりをめざした学級経営案を作成する。(A類学生)A類学生の作成した学級経営案について具体的な指導・助言を行う。(B類学生)
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 《A類学生》
  ・学級経営の意義や学年・学校経営との関係についての理解と習得を深め、児童が安心して生活し学習する学級集団をつくるための理論や先進的な実践を学び、児童との信頼関係を構築して安定的に学級を経営する能力や態度を身につける。
 《B類学生》
  ・児童一人一人を生かし、自他相互の個性の伸長と集団としての学び合いができる学級を経営する資質を養うとともに、学校経営方針に基づく組織的かつ効果的・安定的な学級経営の実現に向けて、豊かな知見と実践経験に基づいた適切な指導・助言ができる能力や態度を養う。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 ・毎回の講義について感想や意見を書き、日常的評価をする。(全員)
 ・ストレートマスターは、実習校での経験を踏まえ、実習で担当している学級を想定して作成した学級経営案を評価する。(A類学生)
 ・現職教員は、これまでの勤務校での具体的な経験を踏まえた議論への参加態度と、ストレートマスターの作成した学級経営案について具体的で適切な指導・助言を行い、その内容を評価する。(B類学生)
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 ・テキスト
  特に指定しない。(講義内容に応じた資料を配付する)
 ・参考文献
  『小学校学習指導要領』
  『小学校学習指導要領総則編』
  『児童理解必携』
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 実習校の担当教諭の学級経営案に目を通しておくこと
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 ・実習校の担当教諭の学級づくりなどについて十分に観察し、整理して授業にのぞむこと
 ・授業で紹介した参考文献は必ず一読しておくこと
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション
  講義のねらいと内容を把握するとともに、講義内容についての問題意識と各自のこれまでの経験を交流する。
【第2回】
 個と学級集団、児童理解について
  個が生きる学級集団について、これまでの経験を踏まえて相互に議論するとともに、児童理解の意義とあり方を考える。
【第3回】
 学級担任の人間性について
  具体的な事例を基に、学級担任の人間性が児童に及ぼす影響について、様々な角度から検討し考えるとともに、人間性を磨くための自己研鑽について議論を深める。
  B類学生は、これまでの学級経営の経験に基づいた事例を提案し、担任としての人間性についての議論を深める
【第4回】
 学級担任の「優しさ」と「厳しさ」について
  児童の置かれた現状を考え、学級担任がどのように接していくことが必要なのかを児童の成長と発達という視点から議論し、検討する。
  B類学生は、これまでに学級経営で経験した事例を基に児童への接し方についての議論を深める
【第5回】
 事例研究①(孤立した児童の例)
  学級の中で孤立していく児童を温かく見守り、集団の一員にしていく実践事例を基に、課題を整理し、立ち直っていく児童への担任の接し方を議論しながら、学級経営のあり方を考える。
【第6回】
 学級担任の共感的な態度について
  児童の生活とストレスについて考え、学級担任の共感的な態度の必要性について、実習校や勤務校での経験を基に議論する。
【第7回】
 学級づくりと生活科・総合的な学習の時間について
  学級をまとめていくために生活科・総合的な学習の時間を効果的に扱っている実践事例を取り上げ、全体で議論し、生活科・総合的な学習の時間の効果的なあり方を考える。
  B類学生は、自分が取り組んできた生活科又は総合的な学習の時間の実践事例を基に学級経営のあり方について議論を深める。
【第8回】
 事例研究②(保護者とのトラブルの例)
  保護者とのトラブルで、学級経営に支障を来した事例を取り上げ、その課題を整理し具体的な対応策を検討する。
  B類の学生は、自分の経験を基に、トラブルに対する解決策について意見を述べる
【第9回】
 学級づくりと道徳教育の充実について
  道徳教育を中核に据えた学級経営のあり方について、実習校や所属校での経験を踏まえて議論し、実践に向けた取り組みについて考える。
【第10回】
 学級づくりと家庭との連携について①
  望ましい学級経営を進めるためには、家庭との密な連携は不可欠である。家庭との連携と家庭教育のあり方について議論し、そのあり方を考える。
【第11回】
 学級づくりと家庭との連携について②
  保護者との信頼関係を築くための学級担任としてのあり方と具体的な方策について、事例を参考に議論する。
【第12回】
 学級づくりと危機管理について
  子どもの安心・安全を守るという観点から、日常の学級における危機管理について、実習校や所属校での経験を踏まえて議論し、検討する。
【第13回】
 学級経営に必要な「ミクロな視点」と「マクロな視点」
  目先のことだけにとらわれるのではなく、学校経営や教育の本質から学級経営を見直す視点を持つことが大切であることを全体討議で考える。
【第14回】
 学級経営と教育を取り巻く今日的な課題について
  新聞等の報道記事を活用して、教育を取り巻く今日的課題と学級担任としての役割について、実習校や勤務校の実態を踏まえながら議論する。
  B類の学生は、自分の経験を基に課題の整理と具体的な解決策を提案し議論を深める
【第15回】
 学級づくりの評価について
  個を生かし、集団としての高まりのある学級をめざした学級経営案を発表し、学級担任の教育的使命とその役割を明確にするための議論をして、講義の振り返りをする。
  B類の学生は、自分のこれまでの実践を踏まえながら、A類学生の学級経営案について具体的な指導・助言を行う。