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授業の内容(Course Description) |
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図画工作科の授業は、小学校の教育課程の中に「表現及び鑑賞の活動を通して,感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうようにするとともに,造形的な創造活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。」ことをねらいとして位置づけられています。実際、国立教育政策研究所の調査(2004年)でも、子どもたちの80%が好きな教科です。授業の中でも、子どもが自らの手と体で、材料や用具に触れながら、感じ、考え、想像し、表現しながら、思いを伝え合い、自分自身をつくりあげていく姿を見ることができます。 けれども、指導者が、図画工作に対する苦手意識や教師主導の教育方法などによって、子どもが「つくりだす喜び」を味わう授業を実施できなければ、子どもが本来もつ造形表現への興味関心や豊かな感性の育ちの可能性を閉じてしまうことになりかねません。 この授業では、子どもの楽しい主体的な学びの場をつくっていくために、図画工作の授業について、その目的、内容、方法、歴史、図工教師のあり方、様々な美術教育、多様な造形表現などについて、実践事例をもとに学習しながら教科指導に関する理解を深めていきたいと思います。授業は、写真、映像、児童作品、小学校図画工作教科書など、豊富な資料をもとに進めます。授業中に簡単な創作をしたり、レポートなども書いたりします。最終的には、自分なりの指導計画(学習指導案、カリキュラム)を作成できるようにし、現場で活用するための基礎的な指導力を身につけたいと思います。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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図画工作について確かな理解と考えをもち、指導者として求められている造形活動の基礎的な知識及び技能を習得し、実践的指導力を身につける。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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①参加態度、②レポート、③発表、④学習指導案の作成などを、関心・意欲、知識・理解、習熟度などの観点から総合的に判断します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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◯テキスト ・『小学校学習指導要領解説 図画工作編』(文部科学省、日本文教出版、定価85円) ◯参考文献 ・『小学校新学習指導要領ポイントと授業づくり 図画工作』(藤江充、辻政博共著、東洋館出版社、定価1,995円) ・『図工室にいこう2〜アートが生み出す子どもの未来〜』(監修:辻政博、編集:美術手帖編集部等、美術出版社、定価2,500円) ・その他、適時指示する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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◯授業で紹介した「展覧会」「児童作品展」「造形教育関係の施設」などに足を運び、鑑賞したり、見学したりするなど、造形教育への見聞を高めてください。 ◯宿題を出します。 ◯「学習指導案作成」に必ず使用しますので、『小学校学習指導要領解説 図画工作編』(文部科学省)は、ひととおり目を通しておくようにしましょう。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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◯習得した知識や技能を自分なら教育活動にどのように活用するかイメージしながら受講してください。 ◯授業中にメモやノートを取ることや資料をファイルしておく方法を自分なりに考え、活用できるようにしましょう。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ・オリエンテーション(図工教師論、授業計画、評価、授業を受けるにあたっての留意事項など)。 【第2回】 ・図画工作教育の意義、目的、特性について学ぶ。実践事例の紹介。 【第3回】 ・図画工作の内容とその構造(題材、目的、領域、分野、共通事項、評価規準などの関連)について学ぶ。 【第4回】 ・題材事例①「A表現(1)造形遊び」(材料、場所、操作、身体を生かした造形活動)について学ぶ。 【第5回】 ・題材事例②「A表現(2)絵に表す」(イメージ、描画材、版表現など)について学ぶ。 【第6回】 ・題材事例③「A表現(2)立体に表す」(粘土、自然材、人工材など)について学ぶ。 【第7回】 ・題材事例④「A表現(2)工作に表す」(板材、道具の活用など)について学ぶ。 【第8回】 ・題材事例⑤「B鑑賞」(遊びを通した鑑賞、対話式鑑賞、鑑賞と表現の一体化など)について学ぶ。 【第9回】 ・児童の発達の段階と題材設定について学ぶ。 【第10回】 ・日本の造形教育の歴史(戦後の造形教育運動を中心に)について学ぶ。 【第11回】 ・様々な造形表現(世界の児童画、民族アート、アウトサイダー・アートなどの多様な表現)について学ぶ。 【第12回】 ・図画工作の指導計画の作成①(学習指導案の構造と項目を理解する)について学ぶ。 【第13回】 ・図画工作の指導計画の作成②(題材を設定し、学習指導案を作成する)について学ぶ。 【第14回】 ・図画工作の指導計画の作成③(年間カリキュラムを作成する。評価の方法について理解する)について学ぶ。 【第15回】 ・まとめ(レポート、発表など)
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