Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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地球・生命・環境と人類 臼田 秀明
選択  2単位
【教職大学院】 12-1-1334-0080-03

1. 授業の内容(Course Description)
 21世紀は『環境といのちの世紀』と言われている。それは20世紀の後半に経済が多くの歪みを伴いながらかつてないほど急速な成長を遂げたことにより『環境といのち』が危うくなったことを反省している為である。現在世代の暮らしは将来世代の取り分まで使いながら、あるいは地球にその環境収容力以上の負担を掛けることによって成り立っている。
 『持続可能な発展』という方向性が示されてから40年が経つが、グローバル化・肥大化・細分化する現状のもと、格差のある先進国・新興国・発展途上国の個人は全体を見通すことが出来ず、21世紀を豊かな『環境といのちの世紀』することは混迷を深めている。例えば 福島の原発の事故も想定する範囲を限定し、全体を見通せずに我々が無定見に”安全神話”を受け入れたことが大きく作用した。
 このような現状を考えると、我々は新たな世界観・価値観を構築し21世紀の地球のあるべき姿のビジョンを描く必要がある。特に次世代を育てる教育に携わる者にとって、このような根源的なことを一度しっかり考える必要がある。
 この授業では地球・生命・環境の成り立ちを理解し、我々人類とは一体なにものなのかを考える。①137億年前にビッグ・バンにより始まった宇宙の中で46億年前に誕生した地球がどのように変遷したか、②大きく変わる地球環境の中で40億年前にどのように生命が誕生し、連綿といのちのリレーがなされる中で、どのように生物の多様性が増えていったのかと、③700万年前に新たに地球の生態系に加わった猿人を祖先に持つ我々人類がどのように発展してきたか、④1万年ほど前に農業を始めた祖先が都市文明を興し、18世紀に始まった産業革命以降人口が急速に増加し、どのように現在に至ったのかを振り返ること、即ちで地球・生命・環境を一つの軸として、風土・伝統・文化を異にする世界の人々が通底して持てる『環境といのちの世紀』の大きなビジョンを考えてみたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 地球・生命・環境の成り立ちを理解し、人類の立場を考え、21世紀を担う若者に、世界に通じるメッセージを発信できることを目指す。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 レポートと毎回の小コメント。試験は行わない。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 臼田 秀明『地球・生命・人間の成り立ちから考える環境・文明試論のためのノート』
  帝京大学のホームページのWeb Classからダウンロード可能。
 臼田 秀明『知は地球を救う』1.はじめに ―豊かな生命と環境の世紀をめざして― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:97−104(2009)
 臼田 秀明『知は地球を救う』2.人類の進化700万年 ―予断に捉われないことの難しさ― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:105−144(2009)
 臼田 秀明『知は地球を救う』3.作物の栽培化から遺伝子組み換え作物まで ―豊かさの広汎化と豊かな多様性・地域性の併存を目指して― 帝京大学文学部教育学科紀要 35:123−180(2010)
 臼田 秀明『知は地球を救う』4.森と人 ―森と人の共生から多様な生命が集う生態系の保存をめざして― 帝京大学文学部教育学科紀要 36:79−152(2011)
 臼田 秀明『知は地球を救う』5.我々の暮らしと地球への負荷 ―目を閉じて全体を静かに心で見てみよう― 帝京大学文学部教育学科紀要 37(印刷中)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 教科書と参考文献を読んでおくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 教師として各自の世界観・価値観を研ぎ続け、メッセージ性のある授業ができるよう自分を鍛えて欲しい。短期的な目先のことだけでなく、悠久の時の流れ、大きく広がる世界を見ながら、じっくり将来を見通すようなビジョンを持てるように頑張っていきましょう。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス・なぜ今『環境といのち』なのか?急速な経済成長とその歪み(1)
【第2回】
 ガイダンス・なぜ今『環境といのち』なのか?急速な経済成長とその歪み(2)
【第3回】
 宇宙・地球・生命の誕生(137~40億年前)・地球の進化・地磁気の発生(40~26億年前)
【第4回】
 種はどのように誕生するのか、種の多様性
【第5回】
 子が親に似るって、遺伝情報・DNA
【第6回】
 オゾン層が出来生物は初めて上陸した。現在のオゾン層の破壊。生物の大絶滅。
【第7回】
 太陽から始まる循環:光合成
【第8回】・【第9回】
 我々はどのように誕生したのか?
 人類の進化(1)(700万年前~現在)・日本人はどのように形成されたか
【第10回】・【第11回】
 農耕の開始から遺伝子組み換え作物まで、21世紀の農業のあるべき姿
 イネの栽培・日本人の起源
【第12回】
 気候変化と文明(1万年前~) 人と森、熱帯雨林の破壊
【第13回】
 生物多様性の喪失・我々は史上六度目の生物大絶滅を引き起こしているか、どのように生物多様性を保存するか。環境倫理とは
【第14回】
 物質・エネルギー循環・地球温暖化
【第15回】
 まとめ