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授業の内容(Course Description) |
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古代ギリシア最大の哲学者であるプラトンは、師ソクラテスの刑死によってアテネ民主政に幻滅し、長い探究の末に、哲学者が支配者であるべきという理想国家論を唱えた。他方で彼の弟子であるアリストテレスはプラトンの国家論を批判し、民主政を擁護した。この授業ではまずプラトンの対話編『国家』を通読し、それからアリストテレス『政治学』のプラトン批判を読んで、国家の目的と政治家の任務について根本から考察する。 議会制民主主義をとる現代の日本においても、裁判員制度や検察審査会において、素人である国民が積極的な役割を果たすことが期待されている。アテネ民主政の意義と限界を解明することは、主権者としての我々の意志決定にも貴重な示唆を与えてくれるであろう。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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テキストの基本的な内容を理解し、発表課題をまとめ、発表と討論ができること
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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出席30%、討論への参加40%、授業内レポートの提出30%
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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プラトン『国家(上・下)』岩波文庫 アリストテレス『政治学』京大学術出版会(プリントを配布する) 岩田靖夫『ギリシア哲学入門』ちくま新書
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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毎回、テキストの指定された範囲をあらかじめ読み、発表用のメモを用意してくること。 欠席した場合は、その回の課題を所定の答案用紙に書いて、次の授業で提出すること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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黙って座っているだけの者には単位を出さない。 声を出すことが嫌いな者は受講しないこと。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 夏休みの読書発表 テキストの説明 【第2回】 プラトン『国家』第1巻:正義とは何か 【第3回】 プラトン『国家』第2巻:問題の再提起、国家の発生 【第4回】 プラトン『国家』第2~3巻:国の守護者の諸条件 【第5回】 プラトン『国家』第4巻:国家の徳と個人の徳 【第6回】 プラトン『国家』第5巻:理想国家の諸条件と哲学の役割 【第7回】 プラトン『国家』第6巻:哲人統治者のあり方 【第8回】 アリストテレス『政治学』におけるプラトン批判 【第9回】 プラトン『国家』第7巻:善のイデア=洞窟の比喩 【第10回】 プラトン『国家』第7巻:哲人統治者のための教育プログラム 【第11回】 プラトン『国家』第8巻:民主制国家と民主制的人間 【第12回】 プラトン『国家』第9巻:独裁制国家と独裁制的人間 【第13回】 アリストテレス『政治学』における国制論 【第14回】 プラトン『国家』第10巻:詩人の追放、正義の報酬 【第15回】 総括討論と最終レポートの作成
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