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授業の内容(Course Description) |
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文化財行政学Ⅰ(副題:文化財行政の基礎) 「文化財」とは1950年の文化財保護法施行にあたって英語のCultural propertiesの訳語として考案された比較的新しい言葉であり、文化財の概念自体歴史の浅いものである。この語の創出過程からもわかるように「文化財」は我が国や人類全体の歴史と文化的営みの中で形成されてきた物質的な遺産の保全や利用の目的と不可分に語られる。歴史学が社会や文化の歴史的真理を探究する虚学(物の生産や金銭的利益に直結しない、純粋に学問のための学問)としての性格が強いのに対し、文化財学は、文化財を認定し、保護・管理・活用を行うための行政的実践のための方法論、いわば実学としての側面が強い。ひとの知的好奇心を刺激するような学問ではないが、社会的に重要な役割をになうものであることは容易に理解されるであろう。この点において歴史研究者・遺跡調査者・博物館学芸員・社会教育行政職員などをめざす人にとっては必須の知識体系である。文化財行政学Ⅰでは「文化財行政の基礎」にかかわる知識と技術について体系的に講義する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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文化財の種類と重要性を認識し、その保護・管理・活用を行うための基本的知識を獲得し、歴史学・博物館・社会教育関係の職場において働く場合に備える。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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基本的知識に関するペーパーテスト
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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奈良文化財研究所『文化財と歴史学』2003年 文化庁文化財部記念物課『発掘調査のてびき』2010年 雑誌『月刊文化財』第一法規株式会社 文化庁文化財部記念物課『史跡名勝天然記念物重要文化的景観登録記念物指定等目録』2010年
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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出身地など自分に身近な史跡をできるだけ探訪し、博物館などで文化財を鑑賞する機会を増やすとともに、どのような重要性から史跡や文化財に指定されたのか、どのような範疇の文化財に属するのか日ごろから注意すること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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日ごろから文化財について関心を持ち、自分で調べたり勉強したりする積極性を身につけてほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 文化財の種類、文化財の指定 【第2回】 有形文化財と無形文化財 【第3回】 文化財保護法と 都道府県の文化財保護条例 【第4回】 文化財調査の基本的方法 【第5回】 埋蔵文化財調査の準備から終結まで 【第6回】 発掘調査の実施、試掘、機材、遺構の種類ごとの発掘法、記録実測 【第7回】 遺物の整理分析と報告書の刊行 【第8回】 遺物の保管と展示 【第9回】 遺物の整理分析作業の見学 【第10回】 埋蔵文化財調査の現状と諸問題 【第11回】 主な史跡と現状、国内の世界文化遺産・世界自然遺産 【第12回】 主な重要文化財と国宝 【第13回】 主な無形文化財 【第14回】 資料の保存条件と保存科学 【第15回】 文化財の補修、真贋とレプリカ、遺構の復元
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