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授業の内容(Course Description) |
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明治維新を達成した日本は、富国強兵を国是に、近代国家の建設に邁進した。しかし帝国主義国家が覇権を争う国際情勢下、アジア社会の中で日本が単独で近代化を遂げることは容易でなかった。そのため国是は、次第に強兵に重点を置くようになり、軍国主義と呼ばれる体制が形成されることになった。 本授業は、維新後の近代陸海軍の創設から日清日露戦争期に至る陸海軍の発展を跡づけるものである。とくに元老体制が確立し、その下で政治、軍事、経済、外交等が調整されて、国力の対外的発動が実現する流れを概観していく。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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陸海軍史の基本的知識を身につけると共に、それが日本の近現代史、あるいは世界情勢の動きととどうかかわるのかを考える。 近現代の問題が、国内の諸分野と密接に絡むだけでなく、世界の政治・経済・軍事・外交等とも深くからみあっている実態を理解し、現代史を考える手法を習得する。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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講義をしっかり受け、どこまで理解しているかが判定の基準である。 出席回数、適宜に行う小テストでおおよその評価を行い、最終テストによって最終評価を行う。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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①毎回レジメ、関連資料を配布する。前もって予習が必要な場合には、関連資料を配付するか、関係テキストを通知する。 ②参考文献:海軍歴史保存会『日本海軍史』Ⅰ、藤原彰『日本軍事史』上
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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学習の基本は丹念にノートすることであり、近道はない。レジメを配布すると、ノートしなくてもよいとする安易な気持ちが生まれやすいことを懸念しており、できればレジメをノートに筆写することを要望したい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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太平洋戦争が終わってから間もなく70年になろうとしている。戦後、日本人は戦争をいいか、悪いかで議論し見てきたが、もうそのような時代は終わり、歴史の一部分としてとらえ、中世や近世を扱うが如く、文献や資料を通してその時代を観察する姿勢をつくり上げてほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーリング(授業目的、講義内容、授業の進め方、参考文献等の説明) 15回にわたる本講義の概要を述べ、歴史学習における本授業の位置づけをする。 【第2回】 陸海軍の創建、仏式・英式の導入、陸の師団・海の鎮守府体制の形成 【第3回】 列強のアジア進出、琉球併合と清国との対立、朝鮮問題の先鋭化、北洋軍団の発展 【第4回】 陸海軍の統帥問題 【第5回】 日清戦争-戦争をめぐる国際秩序、陸軍の戦い・海軍の戦い・慎重派と積極派の抗争-、 下関条約の意義 【第6回】 義和団事変と日英同盟・軍事協商 【第7回】 マスコミの成立と世論の形成、近代的諸制度の導入 【第8回】 陸海軍の改編と強化策 【第9回】 日露戦争-陸軍の戦い- 【第10回】 日露戦争-海軍の戦い- 【第11回】 大本営発表と「軍神」の創造、誠忠録の編纂と近代日本人の理想像の展開 【第12回】 戦史編纂と「日露戦争」神話の形成 【第13回】 軍人伝記の編纂と軍人の神格化 【第14回】 なぜ日本人は日露戦争が好きか、話題にしたがるか、その後の歴史に残した影 【第15回】 相ついで世を去る元勲や日露戦争の英雄達、元老制の崩壊
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