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授業の内容(Course Description) |
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日露戦争後、伊藤博文や山縣有朋といった元老を失い、そのために政治が軍部を押さえる能力を失っていく。明治憲法体制の最大の欠陥である。大正時代は比較的平穏を保つことができたが、昭和になり深刻な社会情勢と相俟って軍部の発言力が強まりはじめると、これを統御する機能・能力がないために、軍部の政治干渉、陸海軍各内部の対立、陸軍と海軍の対立が強まる。こうした問題点や矛盾を何一つ解決できないまま、日本は太平洋戦争に突入する。開戦後数年ならずしてアメリカが強大な戦力を有することがわかっていながら、陸海軍がばらばらのまま、一元化ができないままで対決することになっていく。こうした日本の抱える問題点を、戦争の過程を通して明らかにしていく。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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明治末から昭和の太平洋戦争に至る歴史の骨組みを構築してもらうのが講義の目的である。 激動の時代だけに様々な解釈や意見があり、どうしても議論が細部に行きやすいので、まずはこの40年間の流れの骨格をしっかり固めることに重点を置きたい。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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講義を受け、どれだけ理解したかが評価の目的である。 出席回数、小レポートの提出を60点、最終テストを40点とする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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①毎回レジメ及び関連資料を配付する。 ②秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』、防衛庁戦史部編『戦史叢書』第102巻 年表編 田中宏巳『マッカーサーと戦った日本軍』
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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レジメをノートに書き写し、自分で調べたことをノートに書き込む努力を繰り返してほしい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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家族の戦争体験を調べ、講義の内容と家族の歴史との重なる部分を見つけ出し、自分及び家族も歴史の流れの中にいることを確認してほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 これから取り上げる歴史の意義 【第2回】 太平洋戦争の開戦 【第3回】 井上成美と富岡定俊が想定した日米戦争 【第4回】 時代に合わない大本営と統帥権 【第5回】 第二段作戦計画と珊瑚海海戦の歴史的意味 【第6回】 ニューギニア戦 Ⅰ 【第7回】 ソロモン戦と二正面作戦 【第8回】 ニューギニア戦 Ⅱ 【第9回】 米機動部隊による総火力戦と二つの槍 【第10回】 フィリピン戦にみる戦争指導 【第11回】 海空から封じ込められる日本 【第12回】 日本の降伏と小兵力米軍の上陸 【第13回】 復員と引揚 【第14回】 誰が太平洋戦争史を描いてきたか 【第15回】 まとめ
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