Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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社会学 I 三重野 卓
2群  2単位
【二群】 12-1-1350-3251-05

1. 授業の内容(Course Description)
 本科目では、共通科目としての社会学の基礎(現代社会の理解、生活の理解)について講義する。具体的には、第一に、社会を理解するために、当該社会をその構成要素(=主体)の相互関連関係からなるシステムとして捉え、また、社会の構成要素の測定、数量化(社会指標)について検討する。第二に、経済と社会の関連について、社会に埋め込まれる市場の考え方を明らかにし、また、現代的な問題として、格差の拡大、固定化を取り上げる。第三に、マクロな社会変動として、高度産業化時代の諸相(グローバリゼーションも含む)を明らかにし、さらに、高齢化、少子化、人口減少社会の方向について議論する。
 以上が総論部分であるが、よりミクロなメゾレベルとして、生活の理解を試みる。そこでは、第一に、そもそも生活とは何か、という問い、および、生活をめぐるさまざまな考え方(生活様式や生活時間、生活構造、「生活の質」など)を示し、第二に、家族の諸相、その機能(例、ケア機能、パーソナリティの安定機能)について明確にする。第三に、地域性、共同性からなるコミュニティの考え方、その問題点、さらに、現状(都市化、過疎化、エスニシティ問題)、今後の方向性について検討する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ①社会を見る眼として、相互連関関係からなるシステムとして取り扱うというシステム論的な観点を身につけること。
 ②社会変動の趨勢について、多角的な視点から検討する能力を養い、かつ、不確実性の時代における社会変動の方向を各自、見つめ直すこと。
 ③「生活人」として、そもそも生活とは何か、という点を把握して、それとの関係で、家族生活、地域生活について考える機会とすること。それにより社会の成員としてのあり方、スタンスを身につけること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 成績評価は、出席点、試験による。試験では、テキスト、およびノート、配布資料を持ち込み可とする。試験では、①授業の内容を理解していること、②それを踏まえて、如何に自ら考え、生活人として生きるスタンスを確立しているか、評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは、社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座:社会理論と社会システム、社会学(第二版)』中央法規、2010、を使用する。また、授業中に関連する図書を紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業では、テキストを使用し、さらに範囲外のことも講義してしていく予定である。従って、テキストは事前に読み、また、授業後、授業で話されたことをもとに、テキストで補完すること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 本講義では、社会学的なものの見方、そして現代的な問題について論じる予定である。従って、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどを通して、常に現代社会に関心を持って欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 (イントロダクション) そもそも、社会とは何か、そして、社会学とは何か、という点について説明する。さらに、本講義の構想を示す。
【第2回】
 (社会システム) 社会システムとは何か、その考え方を示し、さらにその安定性と秩序問題について議論する。
【第3回】
 (社会指標の構築) 社会、社会システムの状態を測定する社会指標(客観的側面、主観的側面)について解説し、「福祉」の観点から評価する必要性を指摘する。
【第4回】
 (市場と社会) 交換と市場、市場の社会性と市場の外部について検討し、市場の社会的制御の可能性を指摘する。
【第5回】
 (労働市場と格差) 現代的な状況として、非正規職員・従業員化と関連する労働市場問題、および、階層、格差の固定化、拡大について議論する。
【第6回】
 (社会変動と近代化) 社会構造(当該社会における相対的に安定したパターン)の変動としての近代化、産業社会の登場、脱工業化(サービス経済化、情報化など)社会の進展について解説する。
【第7回】
 (グローバリゼーション) ひと、もの、金、情報が地球規模で行き交うグローバル化について、その実際と危険性について明らかにする。
【第8回】
 (人口からみた社会変動) 人口の高齢化、少子化、そして、人口減少社会について、そのメカニズムを明らかにし、将来を見通す。人口減少が不可避であるとしたら、それに適応する戦略を示す。
【第9回】
 (生活様式をめぐる状況) 現代社会における生活について考察し、さらに、生活様式、ライフスタイル、ライフサイクル、ライフコースの考え方を明らかにする。
【第10回】
 (生活をめぐる諸概念) そもそも、生活構造、生活時間、さらに人々の関係性とは何か、その考え方を明らかにする。
【第11回】
 (家族という社会事象) 家族とは何か、という点について、社会との関わりで分析し、その果たすべき機能について明確にする。
【第12回】
 (現代の家族変容) 世帯規模の縮小、単身世帯化、高齢化など、現代家族の変容について考察する。
【第13回】
 (地域の概念) 地域社会、コミュニティの概念を明らかにし、地域における集団、組織について定式化する。
【第14回】
 (地域をめぐる諸問題) 都市化、過疎化と地域社会、グローバル化の中のエスニシティ(民族性)問題について検討する。
【第15回】
 (総括) 以上、社会的なものの見方、社会変動、さらに、社会変動の中の生活について確認する。