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授業の内容(Course Description) |
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本講義の目的は、第一に、社会学的な論文・レポートの書き方を解説することにある。具体的には、社会学者グループが執筆している安藤喜久雄編『わかりやすい 論文レポートの書き方』を前半の授業でテキストとして使用する。レポート作成法として、問題の探究、文献情報の探索、整理の仕方、具体的な執筆方法などについて解説する。 第二に、社会現象の中から概念(理論に関連した物や行動、認識結果などの正確な定義)を抽出し、理論命題(概念間の関係についての言明)、操作仮説(抽象的な概念の代わりに観察可能な具体的な対応物を用いて言い直された言明)を構成するという理論構築(社会理論とは、社会現象に関連するいくつかの概念が因果的に関係し合っているものと仮定。複数の命題の集合)の方法を示す。そこでは、説明変数と被説明変数、操作化、測定、測定の信頼性、妥当性、仮説の検証(統計的検定)などの解説を行う。 さらに、第三に、理論論文、実証論文の例を示し、その構成、文章表現、図表の読み方などを解説し、理解力を養うように指導する。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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①社会学的なレポート、論文作成の作法を学習し、将来、卒論を書く場合の執筆方法を身につけること。 ②社会現象を理論的、論理的に捉え、数量化、測定につなげる方法を体得すること。 ③理論的文献、実証的文献に慣れること。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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成績評価は、出席点、および、授業の終了時に執筆してもらう感想文(4回程度)、課題(1回)、さらに、実際に執筆してもらうレポートによる。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは、安藤喜久雄編『わかりやすい 論文レポートの書き方』実業乃日本社、1999。参考文献として、斉藤孝ほか『学術論文の技法(新訂版)』日本エディタースクール出版部、2005。また、論文の例を配布する。
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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本講義では、テキストの他に、論文の書き方に関する著作を授業中に紹介する。また、プリントを配布するので、授業中に目を通し、さらに、復習して欲しい。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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学生は、社会学の文献に親しむ習慣を身につけるようにして欲しい。また、論理的、実証的に考える習慣を身につけて欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 (イントロダクション) 本講義の授業内容、授業の進め方を伝える。 【第2回】 (実践的レポート作成法) 上記の安藤編の著作をテキストとして、以下、5回、解説する。実践的レポート作成法として、そもそもレポートとは何か、その注意点、書き方などについて、解説する。 【第3回】 (問題の探究) テーマ設定の重要性を指摘し、テーマを如何にみつけるか、テーマを深めるか、といった点からその方法を示す。 【第4回】 (情報収集の方法) 情報収集の必要性を強調し、情報利用の仕方(データと文献)、図書館の利用方法、ネットの利用方法、情報整理の手法などについて解説する。 【第5回】 (整理の技法) 論理的にまとめる方法、概念の定義の明確化などについて解説する。 【第6回】 (論文レポートの執筆作法) 論文の構成、文章のスタイル、原稿の書き方、引用、注の表示の仕方、図表の表示の仕方などを示す。 【第7回】 (理論構築の方法Ⅰ) 第5回目の授業を拡張し、理論命題、操作仮説などの構成の仕方を示し、理論構築の方法を解説する。 【第8回】 (理論構築の方法Ⅱ) 実際の測定、仮説の検証などについて解説することにより、問題にアプローチする方法を示す。 【第9回】 (理論論文Ⅰ) 社会学における理論論文の例を示し、その読み方を指導する。理論論文は、本の章から選択するのみならず、「社会学評論」などの学術雑誌からも選択する。 【第10回】 (理論論文Ⅱ) 【第11回】 (理論論文Ⅲ) 【第12回】 (実証論文Ⅰ) 具体的な実証論文を示し、図表の読み方、数量データの読み方について解説する。同じく、本の1章、さらに「社会学評論」などの学術雑誌から、論文を選択する。 【第13回】 (実証論文Ⅱ) 【第14回】 (実証論文Ⅲ) 【第15回】 (まとめ) 以上、論文レポートの作成方法、理論構築の方法、実際の理論論文、実証論文の読み方を総括する。
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