Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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精神医学特論 池田 政俊
選択  2単位
【臨床心理学専攻】 12-1-1360-0032-06

1. 授業の内容(Course Description)
 「長期にわたる無料の精神療法は有害である」と臨床場面ではよく言われる。その意味するところがわかるだろうか。心理臨床に携わろうとする者は、どのような心理療法がどのようなこころの病に有効なのか、また有害、禁忌なのかを知り、それを見立てることが求められる。またそもそも病とは何か、「治る」とはどういうことか、といった基本的な問題に立ち返って考えていくことも必要であろう。
 本講義では、精神医学の基礎知識(精神病理学、精神分析的・力動的精神医学を含む)、精神科診断学、精神科症状学、精神障害の基礎知識を学ぶ。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 本講義では、精神医学の基本的な考え方や、症状、経過、病歴にそって精神障害を診断・治療するための知識を修得するだけではなく、一人の人間としてクライアントを理解することに重点を置き、力動精神医学、特に精神分析学の観点からこころの病をどう理解するかを学ぶことを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 報告・討論への参加を通して、各自の理解力・考察力および表現力などを総合的に判断する。出席点も考慮する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『知っておきたい精神医学の基礎知識―サイコロジストとコ・メディカルのために』(単行本)上島 国利(編集)、平島 奈津子(編集)、上別府 圭子(編集)誠信書房
 その他、教員がPPやビデオなどを都度提示する。
 参考文献:HPなどでその都度提示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テキストおよび池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)にUPしてある「精神病理学概論」と「精神医学概論」の該当部分を事前に見ておくことが望まれる。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 この講義は秋期の「心身医学特論」および通年の「臨床心理面接特論」と連動している。履修者は秋期に「心身医学特論」を履修することが強く望まれる。
 関連講義:心身医学特論、精神薬理学特論、臨床心理面接特論など
 (学部:精神病理学概論、精神医学概論、精神薬理学概論、精神分析学、精神保健の理論と実際など)
 適宜池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)を参照すること。
 真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話、担当時の欠席など)。
 主体的・創造的な参加が望まれる。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
 基本的にはテキストを使用する。初めにテーマ別に発表者と討論者を決める。発表者は事前に十分に内容を理解するよう努力して、それを要約したレジュメや参考文献、資料を準備してA4、2~4枚程度にまとめ、当日は他の履修者が内容を理解できるように発表する。討論者には質問と討論の中心になることが求められる。発表者には、こうした質問や討論に対応できるだけの準備が求められることになる。その後、教員が補足的な講義を行う。
 概ね以下の順番で行う予定である。
【第1回】
 発表者、討論者の分担決定など。
【第2回】~【第4回】
 1.精神医学を理解するための基礎知識、精神病理学
  (1)精神医学の概念
  (2)精神医学の歴史
  (3)患者の人権と倫理
  (4)精神障害の成因と分類
  (5)脳と神経の機能と形態
  (6)睡眠と覚醒
  (7)ライフサイクルと発達課題
  (8)心的防衛機制とコーピング
  (9)パーソナリティ
 2.精神科診断学の基礎知識
  (1)精神科診断の進め方
  (2)理化学的検査
  (3)心理検査
  (4)神経心理学的検査
 3.精神症状学の基礎知識
  (1)精神症状の把握の仕方
  (2)疎通性と病識
  (3)主な精神症状
  (4)精神症状評価尺度
  (5)脳と神経の症状、高次脳機能障害、脳局在症候群
【第5回】~【第14回】
 4.精神障害の基礎知識
  (1)統合失調症
  (2)妄想性障害
  (3)感情障害、気分障害
  (4)器質性・症状性精神障害
  (5)てんかん
  (6)精神作用物質による精神障害
  (7)神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害
  (8)性に関する精神障害
  (9)虚偽性障害
  (10)心身症
  (11)摂食障害
  (12)睡眠障害
  (13)パーソナリティ障害
  (14)乳幼児の精神疾患
  (15)児童・思春期の精神障害
  (16)老年期の精神障害
【第15回】
 まとめと小テスト