Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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心理学研究法特論 高田 孝二
選択  4単位
【臨床心理学専攻】 12-1-1360-0320-05

1. 授業の内容(Course Description)
 「嗜癖行動」(addictive behaviors)に焦点をあて、いわゆる「問題行動」の成因を探る。
 「嗜癖」(アディクション;addiction)という用語に明確な科学的定義は存在しないが、わが国でも、英語圏における「○○ addiction」と似た意味あいで、「○○依存」(たとえば「買物依存」)や「○○アディクション」といった用語がしばしば用いられる。これらの用語が用いられる対象行動は強固かつ過剰な反復行動といえ、この意味で多くの問題行動に共通するものといえる。ここではまず文献抄読により、依存の概念や研究法を学び、疾病としての依存症を含め、この用語でくくられる行動の特性を概観する。なお、米国精神医学会の診断基準であるDSMの新版(DSM-5)では、これまでの物質関連障害という分類を、"Substance Use and Addictive Disorders"に変更することが検討されていることから、この背景についても吟味する。ついで、この行動発現の根本にあると考えられる「欲しくてたまらない気持ち」、すなわち、「渇望」(craving)について、研究法や発現メカニズムを概観する。さらに、薬物依存の形成や程度に性差がみられることから、上記に関する性差についても考察する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 「嗜癖」について学ぶとともに、「evidence-based」の考え方、方法論を学ぶ。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席・発表・レポート・質疑内容(70%)、最終レポート(30%)で評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 適宜指定・配布
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 発表やレポートは、テキスト内容の紹介のみならず、独自の観点からの考察が必要です。このため、テキストのみならず関連文献・情報を精査してください。報道や著作物の内容を鵜呑みにせず、キイとなる事象については「ウラ」をとる癖をつけてください。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 「嗜癖行動」の行動特性やその発現メカニズムを探ることは、いわゆる自助グループや、「治療共同体」の果たす行動学的意味の分析にもつながります。抄読文献は英文を含みますが、積極的な参加を期待します。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス、抄読資料配布・割り当て
【第2回】~【第30回】
 以下のテーマにつき抄読・討論する。ただし、実験研究の実施も考慮する。
 ・嗜癖行動の行動特性−「嗜癖(アディクション)」とは何か
 ・疾病としての薬物依存症~DSM-5での名称変更を含めて
 ・「渇望」の脳内メカニズム−動物モデルを中心に
 ・嗜癖行動にみられる性差およびそのメカニズム