Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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精神薬理学概論 I
(精神薬理学概論)
高田 孝二
選択  2単位
【心理】 12-1-1360-0320-09

1. 授業の内容(Course Description)
 精神(こころ)の状態は、言語を含む行動や、表情を含む一般状態・行動を介してのみ観察しうるものです。ここでは、脳の機能(こころのはたらき)を、薬物効果を介して探る一方、薬物の作用機序を、行動効果を含む様々な効果を通して探る学問領域である精神薬理学(行動薬理学)について紹介します。こころのはたらきに影響を与える物質(向精神物質)は、治療薬として広く用いられているほか、酒、たばこ、茶などの嗜好品を介して日常的に摂取され、また乱用など社会的問題を生じるものもあります。本講義ではまず、この分野の歴史と薬理学の基礎を概説した後、痛みや不安、うつについての動物モデルや最新の知見を紹介し、たとえば抗不安薬で軽減される不安とは何か、など、薬物効果を通してみたこころのはたらきについて考えます。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 われわれが日常的に接しているくすりの作用についての理解を深めるとともに、こころのはたらきを捉える方法論について学びます。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 試験成績(80%)および出席状況・質疑内容(20%)で評価します(但し、出席回数5回未満の者には単位を与えない)。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 適宜指定・配布
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 嗜好品を含め、自分の身の回りにある化学物質が自分やひとのこころにどのような影響を与えているのかを観察し、授業内容をフィードバックしつつ、そのしくみを考える癖をつけてください。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 薬物名など細部を覚える必要はありません。「ストーリー」を追うこと、またそのためのキイワード・概念を理解する努力をしてください。積極的な質問・討論を歓迎します。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション・歴史
【第2回】~【第15回】
 以下のテーマにつき概説します。
 ・薬理学の基礎
  ―くすりとは何か
  ―薬物の生体内運命
  ―薬物の作用機序(生体内情報伝達・薬物受容体)
  ―薬物行動効果の規定要因
 ・痛み
  ―鎮痛薬の作用機序
  ―鎮痛効果の検索法
 ・不安、うつ
  ―不安とはなにか
  ―不安の動物モデル、抗不安薬の作用機序
  ―うつの行動特性、動物モデル