Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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非行少年の処遇 福島 啓造
選択  2単位
【心理】 12-1-1360-1867-10

1. 授業の内容(Course Description)
 非行少年の処遇とは、広義には非行を犯した少年の「取扱い手続」、「関係機関の役割」、「非行からの立ち直りを目的とする教育的働きかけ」、ならびに「施設内での生活全般の条件等」を意味し、社会内での指導等多岐にわたる実践活動を含んでいる。これらが具体的にどのような歴史的背景、理論、組織及び体制の下に行われてきたか、その成果ないし問題点について説明し、将来展望にも言及する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 春期授業「少年非行の要因」を受講していれば理解は容易である。少年事件の調査・審判、処分等少年事件処理の流れ、その背景となる少年法の基本理念を理解した上で、これにかかわる各機関の役割とその対象となる非行少年の立ち直りのための具体的方策と関連する理論等につき認識を深める。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験の成績(70%)と授業への出席状況(30%)等を総合して評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:指定しない。講義の概要をプリント配布する。
 参考文献:法務総合研究所編集『平成23年版犯罪白書』
      犬塚石夫 編集代表『矯正心理学(上)』『矯正心理学(下)』東京法令出版
      藤岡淳子 編『犯罪・非行の心理学』
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テキストを使用しないので、配布プリントを適切に管理すること、授業には必ずプリントを持参すること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 配布するプリントの内容はあくまでも概要であるので、講義を聞いてまとまった内容を理解すること。私語や他の受講生の迷惑になる行為は慎むこと。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 「非行少年の処遇」:「処遇」の基本概念について論述する。
【第2回】
 「少年事件の取扱いの流れ」:非行少年処遇に関わる各機関の役割について説明する。発見された非行少年がどのようにして児童相談所や警察から家庭裁判所に通告・送致され処分決定後どのような経緯をへて非行からの立ち直りを図っていくか解説する。
【第3回】
 「非行少年処遇の歴史」:明治維新前後から現在までの非行少年処遇制度等の変遷を概観する。
【第4回】
 「家庭裁判所における少年審判」:少年事件審判における裁判官、調査官及び付添い人の役割と審判の方式等について説明する。
【第5回】
 「少年法の改正と処遇の変化」:平成13年の改正以降もいくつかの法改正が行われており、それに伴う少年処遇の変化について説明する。
【第6回】
 「少年鑑別所の処遇」:非行少年処遇の流れの中で、少年鑑別所の果たす役割を説明し、観護措置と資質鑑別の方法等につき紹介する。
【第7回】
 「保護観察所の処遇」:保護観察の種類、実施方法、遵守事項等について説明し、保護司の役割等について説明する。
【第8回】
 「少年院における矯正教育」:少年院の役割と組織を説明し少年院の種別や処遇課程等について解説する。
【第9回】
 「少年院における処遇(1)」生活指導、教科教育、職業補導、特別活動等基本的処遇について説明する。
【第10回】
 「少年院における処遇(2)」様々な処遇技法紹介し、その目的と効果について検討する。
【第11回】
 「少年院における処遇(3)」成績評価と処遇審査及び仮退院手続きと再犯率について説明する。
【第12回】
 「その他の収容施設」:少年刑務所、児童相談所、児童自立支援施設、試験観察補導委託、保護会帰住等について概略説明する。
【第13回】
 「施設収容をめぐる諸問題(1)」:施設に収容し身柄を拘束されることが心身におよぼすマイナス面や拘禁反応について説明検討する。
【第14回】
 「施設収容をめぐる諸問題(2)」:「触法少年の少年院収容」、「少年受刑者の少年院収容」、「少年法適用年齢の18歳引き下げ」、「修復的司法」等近年の課題につき検討する。
【第15回】
 「施設収容をめぐる諸問題(3)」:「被害者の視点に配慮した矯正教育」、「発達障害少年の処遇」、「外国人少年の処遇」等、従来と異なる視点や対処方法を必要とする教育が求められている現状を説明する。