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授業の内容(Course Description) |
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精神保健は、精神的な不健康の予防、早期発見・治療、再発防止を一つのねらいとしています。また単に「不健康状態ではない」ことを超えて、より良い健康状態を保ち、また増進していくことを目指します。とくに「入院医療中心から地域生活中心へ」というスローガンを掲げた精神保健医療福祉の改革ビジョンのもと、地域での精神保健活動がますます重要視されてきています。ここでの地域とは、家庭、近所、学校、職場などの様々なコミュニティのことを指しており、そこで生活する人々の精神的不健康をどう予防するか、また健康をいかにして向上させるのかが、地域精神保健学の核となる問いです。 地域精神保健の対象は極めて幅広いものとなります。精神医学がこれまで主な対象としてきた統合失調症や気分障害に加え、発達障害、自殺、いじめ、ひきこもり、虐待、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、私たち人間が生きていく上で直面する様々な問題が、その対象となります。講義では、とくに後半部分において、こうした問題のうちのいくつかを取り上げて、地域精神保健活動の実際について紹介します。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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本講義では、地域精神保健学の基礎的知識を習得すること、精神健康に関する様々な問題について考える力を養うことを目指します。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末に試験を行います。また基本的に出席は取りませんが、講義中に小レポートの提出を求めることがあります。最終評価は、授業内レポート20%、試験80%で行います。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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教科書:教科書は使用せず、授業は毎回配布するレジュメに沿って行います。 ただしレジュメは当該授業時間中のみの配布とし、後日配布することはありません。 参考書:吉川武彦(1994)『地域精神保健活動入門』金剛出版
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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より深く講義内容を理解したい場合には、事前に参考書にも目を通しておいたほうが良いでしょう。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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意欲的な学生諸君の参加を期待します。当然のことながら、授業中の私語・携帯の使用・途中退席など、授業を妨害する行動は厳禁です。こちらの指示に従わない場合には、履修登録を取り下げる可能性もあります。 またレジュメの内容に留まることなく、適宜参考文献に当たるなどして自己学習に努めてください。受講生のみなさんも、講義で取り上げる問題に直面することがあるかもしれません。そんなときに本講義で習得した知識が活用できるように、受身にならず積極的に自らに引き付けて考えてください。 なお初回のオリエンテーションにおいて、受講の心構えと方法を説明しますので、必ず出席するようにしてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション:精神保健とは何か、地域とは何か、健康とは何か 【第2回】 精神保健の基礎(1):こころのメカニズム 【第3回】 精神保健の基礎(2):ライフサイクルと発達 【第4回】 精神保健の基礎(3):幼児期・児童期の障害 【第5回】 精神保健の基礎(4):青年期以降の障害 【第6回】 精神保健の歩みにみるコミュニティケアの理念と精神障害者の人権擁護 【第7回】 地域精神保健のネットワーク 【第8回】 具体的な地域精神保健活動の展開(1):統合失調症 【第9回】 具体的な地域精神保健活動の展開(2):うつ病 【第10回】 具体的な地域精神保健活動の展開(3):虐待 【第11回】 具体的な地域精神保健活動の展開(4):ひきこもり 【第12回】 具体的な地域精神保健活動の展開(5):アルコール・薬物乱用 【第13回】 具体的な地域精神保健活動の展開(6):自殺予防 【第14回】 こころの健康を高める方法 【第15回】 まとめ・試験 なお上記のスケジュールは授業の進み具合に応じて変更する場合があります。
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