Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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超域文化論 II 臼井 隆一郎
選択  2単位
【外国語】 12-1-1410-2414-10

1. 授業の内容(Course Description)
 帝京大学外国語学部には大学院として超域文化論専攻をおいている。超域文化とは、基本的に、現代文明が世界的に見れば、どれをとっても、高速化する情報と交通の整備によって、すべての文化現象が個々の発祥基盤の言語的文化的「域」を超えて広がり、相互に関連しながら世界的混淆につながっていく。現代の超域文化を歴史的に異文化交流(ヨーロッパ人文主義)、国内植民(ドイツ・プロイセンの例)、海外植民(ヨーロッパや日本による帆中南米移民)などの歴史を追いながら、現代の異文化共生時代の生成を考える。
 世界が、個々の地域・民族言語文化を混淆させながら進んでいく超域化現象の具体例として、授業として選んだのは、「コーヒー・カフェ文化の歴史」である。それはカフェという近代の社会制度が果たす役割は国によって違う文化社会現象であり、それを支えるコーヒーの生産・交易構造がすでに特定の国家に限定されない、世界的視野を要求する。カフェ制度がそれぞれの時代の文化を映すのは、バッハのコーヒー・カンタータと喫茶店磯部を考えれば一目瞭然であう。
 教科書として『コーヒーが廻り世界史が廻る』(中公新書)を使いたい。この本は、一般向けに書かれた本で、専門的な議論や筆者の専門分野を完全に消してある本であるが、授業はそこに書いてあることを前提として、繰り返さずに、そこでは展開しなかった議論を行いたいと考えるので、授業に参加する学生は、恐縮であるが、個々に揃えて頂きたい。(おすすめは、中古でなるべく安く買うこと。)
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 個々の言語と個々の国家の現象と思われることがいかに世界の他の国々と結びついているかを実感すること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席3割、個々の授業中に小論文型式の文章を書いてもらう。そのレスポンスに3割。学期末には試験に4割と考えている。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 臼井『コーヒーが廻り世界史が廻る』(中公新書)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 身辺の出来事のすべてになぜかと問うこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 どんな些細な疑問でも口にしてほしい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス 
【第2回】
 アフリカのコーヒー豆とアラビアのカフワ 
【第3回】
 ロンドンのコーヒー・ハウスの特異性。
【第4回】
 大航海時代とドイツの苦境  
【第5回】
 音楽と文学の国ドイツ (バッハ、ゲーテ、フォス)
【第6回】
 国内植民から海外植民へ 「土地なき民」ドイツ
【第7回】
 ドイツとブラジル 
【第8回】
 移民と越境の19世紀(ヨーロッパ、中南米、日本)
【第9回】
 国家総力戦争の時代にコーヒーを飲むこと  
【第10回】
 ナチズムとユダヤ人迫害の中でのコーヒー  
【第11回】
 化学産業の統一とIGファルベン  
【第12回】
 アウシュヴィッツの喫茶店とコーヒー 
【第13回】
 ツェラーン「死のフーガ」と「黄色いコーヒー」 
【第14回】
 日本の概観 (日本人のブラジル植民とメキシコ植民) 
【第15回】
 まとめの質疑とできれば期末テスト(代わりにレポートを出すことも歓迎。その場合、レポート題目を教員に前もって相談すること)