Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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余暇論 倉品 康夫
選択必修  2単位
【観光経営】 12-1-1501-1734-03

1. 授業の内容(Course Description)
 われわれは2011年3.11の東日本震災以降、戦後最大の歴史の断絶と転換点を共有して、逡巡している。この境遇を積極的にとらえ、余暇の文化的探求による国民的サバイバルについて考える。
 課題1:《自然の恵みに感謝できる生活》への余暇的アプローチ。内需的地域自給経済展開の可能性。
 課題2:《問題をより身近なところで解決する》「連携」「公共圏」「リスクマネジメント」「環境保全」の地方自治を補完する余暇の探求。
 1と2を通じて
 余暇のミッション(社会的使命)として持続可能性を意識したソーシャルキャピタル(人と人との繋がり)の構築
 グローバル化社会の次の社会の秩序や枠組み作り(人間として豊かに生きる時間デザイン)の方向性を探る。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 余暇の文化的探求―社会の共存空間を創造する余暇文化―
  《メディアリテラシー》クリティカル(建設的批判)に本質を見抜くことができる。
  《感動をもらわない人生》感動は自分でする自分流人生について検討することができる。
  《地域社会》ソーシャルキャピタル(社会関係資本)としての人と人との繋がりの必要性を理解する。
  《豊かな遊び》四季を通じて、遊びに出かけることができる。
  《スタンドバイミー的変容》講義後「新宿の街がとても小さく見える・TDLの話をする友が子供に見える」
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 GPA的100点満点評価。
 リアクション・ペーパー(以下【RP】と略す)記入に基づいて4段階で評価し、この累積15回の講義として、4×15回は60点(60%)になります。
 その他の40点(40%)は発言とレポートですが、質問力・問題解決型能力《クリティカル・シンキング》(建設的批評critical thinking以下【クリシン】と略す)特性を評価します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 参考文献:森田浩之(2009)『メディアスポーツ解体―“見えない権力”をあぶり出す』NHKブックス
      ミヒャエル・エンデ(1976)『モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』岩波書店
      道田泰司、秋月りす(1999)『クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法』北大路書房:京都
      鴨長明『方丈記』上述「余暇論」サイトからダウンロードする。(余暇に関する古典・グレートブックス)
      薗田碩哉(2009)『余暇の論理』叢文社(最新の余暇を考える手立て)
      福田和也(2006)『大丈夫な日本』文芸春秋(他人に自己実現を投げない生き方としての余暇)
      野村浩也(2005)『無意識の植民地主義―日本人の米軍基地と沖縄人』御茶の水書房(モノカルチャー沖縄観光への提案)
      上村愛子(2008)『スキーがうまくなるカラダのつくり方』、実業之日本社(女性に適した身体の研ぎ澄まし方)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
【事前学習】
 事前に参考図書等の短い要約を作ることが求められます。それを前提にすすめてまいります。
【事後学習】
 ノートおよび授業中に配布された資料を基に、授業内容をふりかえる。次回の授業において質問ができること。また、即メールを送ること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 常に《今思っている感想》、《意見》、《質問》等において《クリシン》critical thinkingが求められます。
 教員と学生の相互作用によってなされ共に成長する授業がモットーです。
 教師を乗り越える《クリシン》的答え・質問と出会える枠組みを作ります。RPの《質問》を尊重します。メールでのやり取りも重視。RPに応じて、授業計画変更あり。最終的にレポート提出。
 余暇論;http://sites.google.com/site/yokaron/
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 「長時間労働という生産性の低さ」:エンデ『モモ』の時間泥棒の正体とは
【第2回】
 最高の家族旅行・最低の家族旅行:沖縄北端の民宿―自然の中の大不自然リゾートから人と自然の観光へ―正体不明の「南の島」というステレオタイプ(思い込み)
【第3回】
 余暇的メディアリテラシー―民族の祭典(プロスポーツ)の世話にならない、夢を貰わない人生―
 《スポーツ及びスポーツ後の交流や語らい・スポーツの仲間作り・スポーツの悩みの共有・練習計画・スポーツイベント作り体験》等から遠ざけ、自助的当事者体験
【第4回】
 嘉納治五郎「見世物体育」《ひいきチームの活躍に自らの生を仮託して勇気や感動を貰うライフスタイル》から《日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画して、自らの生を主体的に楽しむスポーツ文化探求生活》への転換・部活スポーツ批判《隠された中世》
【第5回】
 余暇と空間(自閉症と遠くを見る余暇空間、西を拝む 夕日を拝むリゾート)
【第6回】
 余暇の享受能力(余暇の構成要素から余暇力について考える)脱モノカルチャー、脱:「混雑・渋滞・集中・過疎・穴場情報」
【第7回】
 3.11と余暇《自然・農林水産の恵みに感謝できる生活》江戸時代のデイライトセイビング・陰暦
【第8回】
 『方丈記』を読む―危機における余暇的生活―
【第9回】
 余暇と《サバイバル・防災・リスクマネジメント》自助力
【第10回】
 余暇と公共圏(社会を揺り動かす余暇とは)、コミュニティービジネスと余暇
 余暇と地域コミュニティの再創造―「寄らば大樹」の終焉:NPO・コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス―余暇とジェンダー(金曜日に機嫌がいい母・家族サービスという言葉)
【第11回】
 余暇と健康(身体は自然の一部。身体の持続可能性・生涯発達と余暇 スポーツ婚活
【第12回】
 余暇と日本の伝統(日本のクレオール主義―謡の稽古―)
【第13回】
 再びエンデ『モモ』を考える。
【第14回】
 試験
【第15回】
 まとめ及び補遺・余暇をふりかえる