1. |
授業の内容(Course Description) |
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われわれは、ふだん自分の住む「地域」は既に決まっているまとまりと考えがちだ。しかし、その「地域」の区分や「境界」は、人間によって多分に恣意的に設定されたものである。 本講義ではその実例を、近代国家の「辺境」――具体的には中国と東南アジア大陸部を舞台として考えたい。 これらの地域における歴史的・文化的多様性のせめぎあいと「地域」の変遷、そして「地域」という視座からわれわれが今日生きる世界のあり方と今後の可能性とを透視したい。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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異なる世界の結節点である「辺境」に視点を据えることで、われわれが現在生きている近代以降の「地域」「地域区分」を設定したさまざまな要因について理解を深める。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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期末試験(85%)及び平常点(15%)より評価する。 平常点は出席確認を兼ねた不定期のレスポンスペーパー及び出席状況より判断する。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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教科書はとくに指定しない。授業に必要な参考資料は適宜プリントを配布し、関連文献はその都度紹介する。 授業全体の枠組み理解を助けるために以下の文献を挙げる。授業後図書館を活用するなどして該当箇所を参照し、各自で理解を深めてもらいたい。 『地図がつくったタイ 国民国家誕生の歴史』トンチャイ・ウィニッチャクン(石井米雄訳),明石書店,2003年 『境界を超えて 東アジアの周縁から』(アジア理解講座1) 中見立夫(編),山川出版社,2002年 『雲南と近代中国 ―“周辺”の視点から―』石島紀之,青木書店,2004年 『世界単位論』(学術選書049)高谷好一,京都大学学術出版会,2010年
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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講義で紹介した内容について、上記参考文献及び適宜紹介する関連文献の該当箇所を図書館の活用等を通して読んでおくこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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時間外の自主学習を前提として授業を進める。 また、各自関心を持った事項については図書館の活用等を通じ自主的な学習を期待したい。 なお、講義中は私語を慎むこと。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション 【第2回】 雲南及び東南アジア大陸部の地誌 【第3回】 世界単位と生態空間 【第4回】 伝統的地域単位と地理認識 【第5回】 地図と国境:近代の国境問題 【第6回】 中心と周縁:主権の行方 【第7回】 地域イメージの生成:地図と「領土」 【第8回】 地理・歴史・国家:「国土」ナショナリズム 【第9回】 地域の包摂:「周辺化」のメカニズム 【第10回】 “みえない地域”「少数民族」の世界 【第11回】 狭間の人々:「少数派」リーダーたち 【第12回】 「分けられた」地域:タイ文化圏 【第13回】 大メコン圏開発 【第14回】 「地域」の区分とは何か 【第15回】 まとめ(予定)
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