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授業の内容(Course Description) |
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歴史資料・考古資料や古美術品はどんな材料・技術で作られたのか?産地や時代は?そもそもそれはいったい何なのか?そんな疑問に答えようというのが文化財の科学です。すっきりした答えがいつも得られるとは限りませんが、歴史学や考古学あるいは文化財・博物館の世界では新しい研究法としていまや欠かせない分野となっています。授業では文化財科学のさまざまな研究手法を取り上げ、基礎的な原理と先人たちの業績、最新の研究成果をスライドや実物を用いてわかりやすく紹介します。 また、科学的な手段は文化財を保存し,長く後世に伝えてゆくためにも利用されていますが、文化財の概念の広がりや大規模災害への対応など解決しなければならない問題がたくさんあります。授業では文化財保存の現代的な課題を取り上げて考えてみます。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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歴史資料,考古資料、博物館資料などの研究に用いられているさまざまな科学的方法について理解するとともに、そのような方法によって得られたデータを適切に評価し利用できるようになることを目指します。 また、将来自分の手で理化学的な分析や保存を実施してみたいと考えている学生には、理系的素養を身につける手引きをします。 さらに、博物館・図書館・文書館などで資料保存の仕事につこうという学生には理論的な基礎を提示します。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席点(50%)とレポート2回(合せて50%)で評価します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストとして教場にてプリントを配布します。 主な参考文献:『考古学の挑戦-地中に問いかける歴史学』岩波ジュニア新書 『移動と流通の縄文社会史』雄山閣 『文化財のための保存科学入門』角川書店 (他の参考文献については授業でリストを配布します)
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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文化財の研究は文系・理系が協力してこそ成果をあげられる分野です。理系の用語が出てきてとまどうことがあるかもしれませんが、次の授業までにネットなどを使って検索してみることが理解の大きな助けになります。分からないままにしないことが何より大切です。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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「文化財の科学と保存Ⅱ」の受講が望ましい。 文化財の実物に触れるもっとも身近な場は博物館・美術館です。機会を見つけて足を運び、なるべく多くの資料を観察し、問題意識-何が知りたいのか、どんなストーリーが仮定されるかなど-を育ててください。問題意識から解決策が生まれてきます。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ガイダンス、文化財の分類 【第2回】 古美術品の材料と技法1(絵画・彫刻) 【第3回】 古美術品の材料と技法2(工芸その他) 【第4回】 科学の目で見る-火山噴出物 【第5回】 科学の目で見る-石器 【第6回】 科学の目で見る-土器1 【第7回】 科学の目で見る-土器2 【第8回】 科学の目で見る-漆 【第9回】 科学の目で見る-金属 【第10回】 科学の目で見る-古環境と食性 【第11回】 科学の目で見る-年代 【第12回】 保存科学の歴史と壁画の保存 【第13回】 文化的景観の保存 【第14回】 災害と保存科学 【第15回】 文化財の保存と活用
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