Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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文化財科学 II 鈴木  稔
選択  2単位
【日本史・文化財学専攻】 12-1-3083-1961-03

1. 授業の内容(Course Description)
 文化財(美術品、歴史資料や出土品、無形のものも含む)の大きな特色は、人の手によって作られたあと長い年月の経過とともに環境中で様々な変化を蒙って今日に至っていることから、単なる自然物とも,また近代的な工業製品とも異なる複雑性・不均一性を有するところにある(天然記念物は別)。
 そこで,この講義では文化財概念を幅広くとらえ、その材料や製作技法、劣化機構、環境などについて学び、さらに保存や修復についても考える。この分野は一般に保存科学と呼ばれており、文化財科学の最重要分野の一つである。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 この講義では博物館学芸員や文化財専門職をめざす者に求められる実務的能力の養成を図る。そのために、文化財保存科学の実際に触れ、基本的スキルを身につけるとともに、文化財の現場において「何を、何のために、どんな最終目標で、どんな手法を用いて」保存すべきかを自分で考えられる力を養う。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 実物を用いて解説するので出席を重視する(50%)。小レポートを適宜課し(平常点として20%)、それらをまとめた総合レポートを期末に提出させる(30%)。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは用いず、プリントを配布する。
 参考文献は適宜指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 文化財に対する知識を深めるためにも博物館・美術館に足を運んで実物を見るよう心がけて欲しい。授業でも開催中の展覧会をなるべく紹介する。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 「文化財科学実習」をあわせて受講すること。
 保存科学の研究対象はあらゆるものに及びます。「保存」と言う観点から見ると、身の回りにあるものから世界的な学術・芸術的資料にいたるまでを論ずることが可能になります。視界は広く、知識は深く、を心がけてください。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス、保存科学とは
【第2回】
 古美術材料技法1(絵画)
【第3回】
 古美術材料技法2(彫刻)
【第4回】
 古美術材料技法3(工芸、書跡・典籍)
【第5回】
 文化財の劣化1(美術・工芸品)
【第6回】
 文化財の劣化2(建造物、文化的景観)
【第7回】
 文化財の劣化3(記録媒体ほか)
【第8回】
 文化財の修復
【第9回】
 出土品の保存科学
【第10回】
 自然災害と文化財
【第11回】
 文明破壊とcatastrophe
【第12回】
 文化財と国際社会
【第13回】
 パフォーミングアーツとスポーツ
【第14回】
 文化財としての「くらし」と「ことば」
【第15回】
 まとめ