Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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チームで取り組む生徒指導とネットワークづくり 岡田 行雄
選択  2単位
【教職大学院】 12-2-2120-3212-01

1. 授業の内容(Course Description)
 授業は、複数の教員によるティーム・ティーチングの形態で行う。
 生徒指導の目標達成、問題解決に取り組む教職員と学校の生徒指導力を高めるため、学校における生徒指導組織と教職員の協働の実態を調査して課題を把握する。課題解決に向けて、学校の教職員及び家庭・地域の連携・協働に必要な知識・技能を習得する。
 更に、生徒指導の課題達成・問題解決におけるチームワークとネットワークの必要性について学び、認識を深める。関係諸機関を訪問してそれぞれの役割や教育支援の働きを理解し、連携の可能性や在り方を検討して学校を中心とした生徒指導ネットワーク図として整理する。更に、自己課題に即して、連携・協働による生徒指導上の問題解決への具体的な取り組みの計画案を作成する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 <A類学生>
 ・児童生徒の指導・援助に当たって、1人で抱え込まずに他の教職員と日常的にコミュニケーションをとり、報告・連絡、相談を進めて生徒指導組織を生かした協働、チームワークの仕方を身につける。
 ・学校外部の生徒指導関係諸機関について、設置目的や機能、業務内容、組織と専門職員、学校との関係などについて理解する。
 ・チームワークとネットワークで生徒指導を推進するために、必要な知識・能力を身につける。
 <B類学生>
 ・学校の生徒指導を分析的・総合的に診断・評価し、生徒指導組織における問題点と実践的課題を、具体的に指摘することができる。
 ・生徒指導体制の確立のために、リーダーシップを発揮して、計画立案・連絡調整・指導助言に取り組み、教職員の組織化と協働を推進できる。
 ・学校外部の生徒指導関係諸機関についての知識・理解を深め、学校外部とのネットワークを築いて、校内生徒指導組織を生かしつつ、外部の生徒指導関係諸機関と協力して問題解決に取り組むサポートチームや協力体制をコーディネイトできる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 調査研究・実践研究の作品・レポート、プレゼンテーション、グル-プワークへの参加・活動状況をもとに評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:特定のテキストは使用しない。
 参 考 書:学校と関係機関との行動連携に関する研究会『学校と関係機関等との行動連携を一層推進するために』(2004)
      国立教育政策研究所生徒指導研究センター『生徒指導体制の在り方についての調査研究-規範意識の醸成を目指して-』(2006)
      岩城孝次・森嶋昭伸『生徒指導の新展開』ミネルヴァ書房(2008)ほか
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 実習校における生徒指導の実態や指導体制等について、資料の収集や観察・記録を行い、授業において情報提供や事例報告などができるようにしておくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 実習校や所属校における生徒指導に常に関心を持ち、その課題解決の方策について考察や提案等ができるように努めること。
 生徒指導における専門的知識や理論を身につけ、スクールリーダーとして、教員の共通理解や組織的な対応ができるを目標に、課題意識を持った積極的な授業への参加に努めること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション
  科目のねらいと授業計画、到達目標と自己課題の設定 授業内容にかかわる問題意識と経験の交流
【第2回】
 生徒指導上の課題と教職員、学校の取り組み
  連携協力校や勤務校における生徒指導上の課題への取り組みを見つめ、学校における生徒指導体制、教職員の生徒指導力、学校としての生徒指導力について分析・考察し、改善すべき点や充実すべき点を整理する。
【第3回】
 これからの生徒指導に求められる連携・協力
  今日、学校における生徒指導上の課題を図るためにどのような取り組みが求められているのか、近年の研究協力者会議等の報告書や教育政策研究所等の研究知見・提言を読んで、これからの生徒指導における学校内外の連携・協力のあり方について認識する。更に開かれた生徒指導が求められている状況を踏まえて、学校・家庭・地域、関係諸機関によるチームワークとネットワークの必要性について理解を深める。
【第4回】
 学校教職員の組織化と協働 ― 生徒指導における組織化と協働の意義と必要性
  事例の分析を通して、生徒指導におけるマネージメントやリーダーシップ、メンバーシップの発現など協働の重要性への認識を深め、教職員の職種・職位、職務内容や専門性を活かす生徒指導体制の在り方を追究する。
【第5回】
 生徒指導における保護者との協働 
  保護者との情報の共有、意思疎通を図るコミュニケーション、面談の技法をロールプレイングを通して身につける。また、生徒指導方針や指導基準の効果的な説明、PTA活動と保護者の組織化等、協働の進め方を探る。
【第6回】
 生徒指導における地域住民との連携・協働
  校区の自治会、商工会、同窓会などの組織とその活動、児童生徒の遊び場や施設等、地域での生活環境と人々とのかかわりについて調査し、協働の在り方を探る。学校と地域相互の情報提供、情報交換の仕方を探る。
【第7回】
 生徒指導における他学校間との連携・協働
  児童の出身幼稚園や保育所、小・中学校等を訪問して幼児・児童・生徒の実態を観察し、生徒指導方針、組織、教育活動等についての情報交換、支援チームの編成、合同研究会の開催等、連携・協働の在り方を探る。
【第8回】
 関係諸機関、専門家との連携・協働①
  次回からのフィールドワークの事前学習として、今日、わが国における学校の生徒指導にかかわりがある組織や機関、従事者について概観し、その中からグループ毎にいずれかの関係機関を分担して情報・資料を収集し、調査報告する。
【第9回】~【第11回】
 関係諸機関、専門家との連携・協働②~④(フィールドワーク)
  関係諸機関、専門家との情報連携、行動連携を推進するため、一般の学校以外の教育機関、児童福祉、医療、司法等の専門機関から、3箇所を選んで訪問調査を行い、学校との連携、協働の在り方を探る。各機関の設置目的や業務内容、組織、専門職員、学校教育との関係等について、見学、協議等を通して理解を深める。
【第12回】
 関係諸機関、専門家との連携・協働⑤
  関係諸機関の訪問調査の結果を報告し、学校教育の視点から、連携の必要性や可能性、チームワーク、ネットワーク推進上の課題や留意点等について協議し、整理する。
【第13回】
 関係諸機関、専門家との連携・協働⑥
  関係諸機関の訪問調査から得られた情報に基づいて、連携協力校または勤務校の場合を想定して、生徒指導上の課題解決、問題行動への対応のため、学校を中心とする生徒指導ネットワーク図を作成する。
【第14回】
 生徒指導におけるチームワーク、ネットワークの実施計画①
 ・A類学生は、学級担任として、規範意識の醸成やいじめの防止や問題行動の指導に当たって、学校・学年の生徒指導組織や養護教諭、スクールカウンセラー、また、保護者にどのようにして理解、協力を求めていくか、学級担任としてのチームワーク、ネットワークの実施計画を作成する。
 ・B類学生は、不登校や発達障害など、勤務校等で指導・援助が求められている児童生徒について、ネットワークを活かした支援チームの編成・活動を想定して、コーディネーターとしての役割や活動の手順等のシミュレーションを行って実施計画を作成する。
【第15回】
 生徒指導におけるチームワーク、ネットワークの実施計画②
  作成したチームワーク、ネットワーク実施案をより実践的な計画にするよう プレゼンテーションを行い、研究協議する。