Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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これからの学校教育と教育政策・行政 御手洗 康
選択  2単位
【教職大学院】 12-1-1331-3252-03

1. 授業の内容(Course Description)
 臨時教育審議会以降の教育改革の推進過程をたどりながら具体的に実施された教育政策の内容とその現状について学び、この20年間の我が国社会の変化が学校教育に及ぼした影響とこれからの学校教育の在り方・役割を考える。
 また、具体的な政策の内容とその立案・推進過程の学習を通して、公教育制度としての学校教育に対する理解を深めるとともに学校と教育行政・政治との関係、教育における地方自治と学校の自主性・自律性の確立、教育予算と教育条件の整備など教育行財政の基本的な仕組みと現状について学ぶ。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 <A類学生>
 ・教育改革の大きな流れと主要な教育政策の内容を理解し、社会の変化の応じた学校教育の役割・在り方について協議する。
 ・公教育制度としての学校教育の役割や機能、教育行政と学校との関係、教育における国と地方との関係など公教育制度の基本的な仕組みについて理解し、その現状と課題について協議する。
 <B類学生>
 ・上記に加えて教育行・財政の基本的な仕組みと機能及び具体的な教育政策の立案・推進の実際のプロセスを理解し、教育委員会における政策の立案・推進の具体的な手法について基礎的な素養を身につける。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席回数と授業への参加度・発表等の内容で評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 特定のテキストは使用しないが、授業ごとに必要な資料・参考文献等を配布または指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 事前に配布する資料・文献等を読んで授業に参加すること。
 授業で発表するための事前の準備をしてもらうことがある。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 臨教審答申と教育改革の推進(オリエンテーションと講義)
  臨時教育審議会(1984~87年)答申とその後の教育改革の推進過程を学び教育の現状と課題について協議し、授業の目標を明確にする。
【第2回】
 教育基本法の改正①(講義と協議)
  教育基本法の理念や意義と役割、平成18年の改正に至るまでの経緯・背景等について学び、社会や政治の変化と教育との関係について協議する。
【第3回】
 教育基本法の改正②(講義と協議)
  平成18年の教育基本法改正の過程と改正の意義、内容等について学び、これからの教育の在り方について協議する。
【第4回】
 学校制度の改革(発表と協議)
  専門高校・単位制高校・総合制高校や学区制の弾力化、中高一貫教育、小中学校の学校選択制、特別支援教育など学校制度の変革とその現状について調べ、課題や今後の方向を協議する。
【第5回】
 開かれた学校運営と学校の自主性・自律性の確立(発表と協議)
  学校評議員、学校運営協議会、自己評価と外部評価、情報公開など地域住民と学校運営との関係にかかわる仕組みを調べ、開かれた学校運営の課題について協議する。
【第6回】
 「学校5日制」の実施と学習指導要領の改訂(講義と協議)
  学校5日制実施の社会的な背景及び平成10年の学習指導要領改訂による完全実施に至る過程を学び、社会の変化と学校教育の関係、学習指導要領の役割・機能等について協議する。
【第7回】
 「国旗・国歌法」の制定(講義・発表と協議)
  国旗・国歌の取り扱いの変遷と学校での指導の現状について調べるとともに平成11年の「国旗・国歌法」の制定の過程を学び、グローバル社会における「愛国心」や「教育と国家」の関係、学校教育の役割等について協議する。
【第8回】
 「全国的な学力調査」の実施(講義・発表と協議)
  平成10年の学習指導要領の改訂に対する「学力低下」批判と「全国的な学力調査」の導入過程を学ぶとともに過去の学力調査や国際的な学力調査の実施状況等について調べ、学力調査の役割・機能、課題等について協議する。
【第9回】
 教育委員会制度と教育の地方分権の推進(講義と協議)
  平成11年の「地方分権一括推法」から平成19年の「教育三法」までの地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正の過程について学び、教育の地方分権と教育委員会制度の現状・課題等について協議する。
【第10回】
 義務教育費国庫負担制度と教職員定数の改善(講義と協議)
  義務教育費国庫負担制度と県費負担教職員制度の仕組、教職員定数と学級編制基準の改善計画について学び、教育行政における国と地方・都道府県と市町村の役割分担、課題等について協議する。
【第11回】
 義務教育費国庫負担制度の改革と教育予算(講義と協議)
  三位一体改革による義務教育費国庫負担金制度の改革の過程を学び、教育予算と政治との関係・首長(知事・市町村長)と教育委員会の関係・教育予算の現状等について協議する。
【第12回】
 教育振興基本計画(発表と協議)
 ・A類学生は、国及び地方公共団体の教育振興基本計画の策定状況について調べ、特定の教育課題と現状について協議する。
 ・B類学生は、上記に加えて、特定の計画について具体的な推進状況と成果を調べ、推進方策について検討する。
【第13回】~【第15回】
 教育政策の立案・推進の実際(講義と協議・レポート)
 ・A類学生は、現職の行政官から現在進められている政策について説明を受けレポート発表を行う。
 ・B類学生は、上記に加えて、審議会での審議の進め方や関係者の意見調整、マスコミとの対応、法案の作成過程、政策の周知と推進など政策の立案と実現、推進のプロセスについて具体的に学び、政策立案の基礎知識を得る。
 ・とりあげる政策テーマは、次のような事例から受講生の希望により決定する。
 (学習指導要領の改定、全国学力調査と教育課程実施状況調査、国際的学力調査の実施、教員免許更新制度、高校教育の無償化、教員資質向上のための総合的政策の検討、新教育振興基本計画の策定など)