Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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ヨーロッパ経済論 I 和田 正武
選択  2単位
【経営】 12-1-1110-0584-11A

1. 授業の内容(Course Description)
 ヨーロッパ文化は日本の近代化にとって何時も大きな目標であった。ヨーロッパ社会が生んだ政治、経済、社会制度や文化は今日世界の標準となっているところが多い。ただ、これらの制度や習慣は、ヨーロッパの経済活動の中で生まれてきたものが多い。ヨーロッパをより深く理解するため、また現代日本の制度や仕組みの成り立ちを理解する意味で、ヨーロッパの経済の発展プロセスを知ることは重要である。ヨーロッパ経済論Ⅰでは第一次大戦までのヨーロッパを扱う。後期はヨーロッパ諸国が経済、政治的に統合していく過程を学ぶ。Ⅰ、Ⅱを通して受講する事を期待する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ヨーロッパの古代から中世、近世に至る歴史の流れの中で、経済活動がどのように変化をし、経済活動がそれぞれの時代の人々の社会や生活、さらに今日の我々の経済活動にどう関係し、影響を及ぼしてきたかを自分なりに想像できるようなイマジネーション力を養うことを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末テスト(記述式)60%、出席点40%。なお、出席率3分の1以下の者は成績評価しない。
 なお、適宜、授業中にミニテストを行い、授業の理解度を見ることとする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 参考書:『経済大国興亡史(上)』『経済大国興亡史(下)』(キンドルバーガー、岩波書店)、『概説西洋経済史』(荒井政治、有斐閣)、『現代ヨーロッパ経済史』(原 輝史、有斐閣)、『ヨーロッパ統合のゆくえ』(宮島 喬、人文書院)『ヨーロッパ経済』(朝倉 弘教、けい草書房)、『イギリス経済史』(有斐閣)、『フッガー家の時代』(有斐閣)、その他
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 上記参考書の、少なくとも1つは完読すること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 世界の経済の動き、特にヨーロッパの動きに関心を持つこと。ヨーロッパのEUを中心とした戦後の経済統合の動きを世界的視野、歴史的視点でとらえること。幅広い関心を持って勉強しようとする学生を歓迎する。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 「イントロダクション」
  ヨーロッパとは。地理、歴史、人種、言語、宗教などから見たヨーロッパ。ヨーロッパ経済の発展の大きな流れの概観。
【第2回】
 「ギリシャ・ローマから中世ヨーロッパの経済
  都市国家ギリシャの経済の成り立ち。巨大国際国家としてのローマの経済の仕組み。
  課題:奴隷制経済とは?その問題点は?なぜローマ帝国は滅びたか?経済的理由は?
【第3回】
 「中世ヨーロッパの経済発展」
  荘園経済から都市経済の発展へ。ギルドの役割。中世の交易とハンザ同盟。
  課題:中世ヨーロッパ経済の構造とは?荘園経済とは?
【第4回】
 「イタリアの都市国家経済」
  十字軍とイタリア都市国家の発展。ルネッサンス。とくにベニスの経済発展。
  課題:十字軍の経済効果は?人の移動がもの、情報の移動をもたらす。
【第5回】
 「大航海時代とイタリア都市国家の没落」
  フィレンツェの発展と没落。トルコの台頭と大航海時代の幕開け。ポルトガル、スペインの発展。初期重商主義の成立。
【第6回】
 「重商主義の変質」
  オランダ、イギリスの台頭。新しい重商主義へ。宗教改革と職業の倫理。イギリス毛織物と農村工業の発達、初期資本主義の発展。
  課題:大航海時代によってヨーロッパ経済はどう変化したか?
【第7回】
 「イギリス産業革命と資本主義の成立」
  技術革新と産業革命。アダムスミスの重商主義批判と国富論。
  課題:なぜ、産業革命はイギリスで初めに起こったか?なぜ、オランダでは起こらなかったのか?
【第8回】
 「イギリス産業革命の光と影」
  エンゲルスのイギリス労働者階級についての報告、トマスモアからの社会主義思想の系譜など。
【第9回】
 「大陸ヨーロッパの産業革命(1)」
  フランスの産業革命−絶対王政、重商主義と重農主義。ドイツの産業革命−関税同盟からプロシャによるドイツ統一。国主導の富国強兵。
【第10回】
 「大陸ヨーロッパの産業革命(2)」
  オーストリア−ヨーロッパの老大国。イタリア−分裂都市国家の統一への道。
  課題:大陸ヨーロッパ諸国の発展段階プロセスの違い。日本の近代化プロセスと対比して考えてみよう。
【第11回】
 「アメリカ独立戦争、ナポレオン戦争とイギリス経済」
  新たな国際展開と植民地経営。インド、中国。アヘン戦争へ。
【第12回】
 「帝国主義の時代と植民地争奪」
  19世紀末の不況。自由主義から保護主義へ。植民地主義とアフリカ分割。
【第13回】
 「第一次大戦とヨーロッパ政治経済」
  ベルサイユ体制。戦勝国と敗戦国。ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊。トルコの衰退と南東欧の独立。パックスブリタニカからパックスアメリカーナへ。
【第14回】
 「マルクス主義とヨーロッパ」
  ロシア革命と社会主義の誕生。
  課題:第一次大戦前と後のヨーロッパ経済体制の変化とは?
【第15回】
 まとめ