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授業の内容(Course Description) |
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この講義では中国とならびアジアの新興工業国として,また世界経済における比重を高め台頭しつつあるインドの経済を取り上げる。世界経済は中国やインドなど新興国経済の発展に依存する度合いが強まっており、インドの発展しつつある市場を巡り米英仏露日などの競争も激しくなっている。特に日本企業のインド投資ブームが続いており、日本経済を理解するうえでもインド経済の理解は不可欠になっている。インド経済を理解するには、現状・経済政策の変化とならんで現代に至るまでのインドの長大な歴史とその経済社会の構造的特質の理解も不可欠である。インドは人口11億人で中国に次ぐ広大な国で、歴史も古い。その経済は地域的格差も大きく、そのため独自の発展戦略を模索してきた。この20年ほど、息の長い高成長が続き、現在の世界不況下でもプラス成長を続けており、一定の豊かな中間層の形成が見られる。同時に厚い貧困層の存在も構造的な解決すべき課題として併存している。政治システムとしては議会制民主主義の発展と定着がみられ、中国とは異なる条件のもとでの発展モデルを示している。本講義では、この躍動するインド経済を明暗を含め多面的に考察することを課題とする。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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インドとインド経済に関する基礎的な知識を習得すると同時に、なぜインド経済を勉強する意義があるかについての自分の考え方をまとめること。同時に、多極化する世界経済を新興経済圏の視点から見ることにより、国際経済に対する見方を多面的に深める。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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期末定期試験によって評価する。必要に応じて出席を加味する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:配布プリント。 参考書は適宜講義で指示する。同時に各種日刊紙を常時参考。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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インドを巡る動きが激しいので新聞・雑誌を通じて関連事項をフォローする習慣をつける。 入門に相応しい基礎的書籍を講義の際に指示する。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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新しい分野にチャレンジしようとする学生、発想の枠を柔軟にしようとする学生、質問を出す学生を歓迎する。また、未知の世界を知ってそこから将来の生き方・職業を考えようとする学生の聴講を期待する。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 インド経済が注目される理由は何か。イントロダクション 【第2回】 インドの地政学的位置づけと途上国における位置 【第3回】 インドの経済・社会の歴史(1) イギリスの植民地化以前の歴史 【第4回】 インドの経済・社会の歴史(2) イギリス植民地時代(東インド会社) 【第5回】 インドの経済・社会の歴史(3) イギリス植民地時代(直轄統治時代) 【第6回】 インドの経済・社会の歴史(4) 独立運動とその思想 【第7回】 独立運動とインドの各種経済開発計画 「社会主義型社会」の理念と構造:国家主導輸入代替工業化戦略会の歴史 計画委員会及び財政委員会の機能 【第8回】 独立後インドの経済発展の特徴:輸入代替政策と重工業優先政策 【第9回】 経済開発政策の転換と開放化(1991年) 【第10回】 産業・投資政策の転換と規制緩和 【第11回】 財政政策と財政委員会・インドの連邦制 【第12回】 インフラ整備の課題 【第13回】 インド財閥の話(ターターとリライアンス) 【第14回】 注目されるITおよび医薬品産業の事例 【第15回】 インド経済論Ⅰの総括
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