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授業の内容(Course Description) |
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開発経済学は、経済成長論、経済発展論の分析手法を発展途上にある経済に応用し、その発展メカニズムを分析する研究分野である。また、政治学はもとより、社会学、心理学、宗教学や文化人類学、さらには保健、衛生分野の知識も必要とされ、開発経済学は「学際領域」の学問でもある。と同時に国際連合の諸機関や世界銀行、IMF等の国際金融機関はじめ、先進諸国政府による発展途上国向け貧困削減政策の策定、実施、評価にも大きく貢献しているという意味において「実践的」学問でもある。「開発経済学Ⅰ」では、この実践的な側面から講義をはじめ、多くの映像を用いて受講者の関心と理解を深めることとしたい。そのうえで、貧困状態にある経済社会の分析に、生産、投資、貯蓄、消費、分配といったマクロ経済学や、個々の企業や家計に関するミクロ経済学の分析手法がどのように役立ちうるかを説明する。また、経済学の観点ばかりでなく、たとえば心理学で用いられる「成就の欲求」といった概念をもちいて、貧困な人々の経済発展への潜在的意欲がなぜ低いのか、経済発展への動機付けはどのようにすれば可能かといった貧困問題へのアプローチも示唆深いものがあり、心理学を含む複数の学際的研究課題を取上げ、受講者の思考を鍛えていくことにしたい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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受講生諸君には、「貧困」とは何か、「貧困」からの解放はどのようにして可能か、といったことを講義の中で触れる情報を繋ぎ合わせて、自分なりの貧困削減の方法を考えてもらいたい。それを踏まえて、現行の日本政府の発展途上国援助政策や青年海外協力隊の援助活動、さらにはNGOの援助のあり方について、自分なりの意見が言えるようになってもらいたい。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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試験は、持ち込み『不可』で行います。 成績評価は①テストの結果と②出席状況を総合的に評価します。出席についてはタッチパネルで7回以下の場合はコンピュータが自動的にR評価をしますので、単位を与えることはできません。充分注意すること。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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高梨 和紘著『経済開発政策論』文眞堂、2009. 高梨 和紘編著『開発経済学-貧困削減から持続的発展へ』慶應義塾大学出版会、2005. 山形・黒崎共著『開発経済学-貧困削減へのアプローチ』日本評論社、2003. 速水佑次郎著『開発経済学-諸国民の貧困と富』創文社、2000.
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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テレビ、Webサイト、新聞、雑誌等々に目を通し、講義内容と関連する情報を日常的にチェックすること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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問題意識をもって、受講して欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 はじめに:開発経済学の性格 【第2回】 分析対象としての「貧困」 【第3回】 所得格差と「貧困」 【第4回】 格差の測定:GINI係数 【第5回】 「貧困」の実像 【第6回】 貧困削減政策の全体像 【第7回】 生産の活性化政策: OVOP(One Village One Product) 【第8回】 小口融資政策:MC(Micro Credit) 【第9回】 教育の実態とEFA(Education for All) 【第10回】 FTA(Free Trade Agreement)と EFA(Economic Partnership Agreement) 【第11回】 医療保健制度 【第12回】 開発と環境保全 【第13回】 政治的安定と「良いガバナンス」 【第14回】 国際開発援助政策 MDGs(Millennium Development Goals)と PRSPs(Poverty Reduction Strategy Papers) 【第15回】 まとめ:日本の開発援助政策
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