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授業の内容(Course Description) |
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本講義では、国際開発援助の現状と課題を理解することからはじめる。その為には、UNDP等の国際連合諸付属機関、IBRD、IMF等の国際金融機関が先導する開発戦略の概要を理解する必要がある。開発戦略のうち、とりわけ発展途上国政府が貧困削減政策により積極的に取組むことを求めてPRSPs(貧困削減戦略書)作成を義務づけたことの意義を理解する。また、国連の掲げるMDGs(ミレニアム開発目標)の達成に向けてコロンビア大学地球研究所長として精力的に貢献を続けているJ.サックスの作業の内容や方向性に検討を加えると共に、その戦略に異を唱えるニューヨーク大学のW.イースタリーの主張がいかなるものかを理解し、地球上からの絶対的貧困層を一掃する目標年2015年に向けてわれわれに課せられた課題について論じたい。これと並行して、論文作成を促すため、参加者の個別論文テーマについてディスカッションを行う。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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戦後の国際援助政策は2000年を境に、それまでの紆余曲折を経て舵の方向を大きく変えたと言える。MDGsが国際開発努力の目指として掲げられたが、受講者にはこの方向に向けて国際機関、各国政府、とりわけ発展途上国政府がどのような形で貢献しようとしているのか、理解を深めてもらいたい。また、国家単位の開発戦略とは別に、これと並行して途上国の貧困の最底辺にいる婦人達を対象とした開発戦略についても、その実態と支援策について学んで欲しい。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席率50%(8回出席)以上の学生のみ、プレゼンテーション、ディスカッション、レポートの評価対象とする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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高梨 和紘著 『経済開発政策論』文眞堂、2009 高梨 和紘編著『開発経済学−貧困削減から持続的発展へ』慶應義塾大学出版会、2005. 山形・黒崎共著『開発経済学−貧困削減へのアプローチ』日本評論社、2003. 速水 佑次郎著『開発経済学−諸国民の貧困と富』創文社、2000.
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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テレビ、Webサイト、新聞、雑誌等々に目を通し、講義内容と関連する情報を日常的にチェックすること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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問題意識をもって、参加して欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 貧困持続の構造 T.R.マルサス 【第2回】 貧困からの解放 A.ルイス 【第3回】 均斉、不均斉モデル R.ヌルクセ 【第4回】 A.O.ハーシュマン 【第5回】 成長の2部門モデル G.レイニス=フェイJ.C.H.府 【第6回】 ビッグプッシュ論 H.ネルソン=ライベンシュタウン 【第7回】 経済成長モデル R.F.ハロッド=ドーマーE. 【第8回】 R.M.ソロー=スワンT.W. 【第9回】 国際金融機関モデル IMFモデル 【第10回】 IBRDモデル 【第11回】 諸開発政策と論文指導 人的資源開発政策 論文テーマを巡る討論 【第12回】 技術トランスファー政策 論文テーマを巡る討論 【第13回】 医療保健制度整備政策 論文テーマを巡る討論 【第14回】 ガバナンス改善政策 論文テーマを巡る討論 【第15回】 まとめ:開発モデルの課題と展望
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