Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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開発経済論特講 II 高梨 和紘
選択  2単位
【経営学専攻】 12-1-1110-1895-34A

1. 授業の内容(Course Description)
 本講義は「開発経済論特講I」で国際開発援助の方向性について理解を深めたことを前提に、あらためてその理論的背景を探ることにする。T.R.マルサスが『人口論』(1798)のなかで貧困の罠について論じて以来、21世紀を迎えた今日でも発展途上国の「貧困の持続」という経済現象は経済学者の関心を惹き付けて止まない。「開発経済論特講II」では、はじめに現行の国際開発援助論を支えている経済理論の系譜を辿ることにしたい。すなわち古典派、新古典派、ケインズ学派に属する経済学者が、「貧困」をどのように捉えたのか、さらにそれぞれの分析の中に今日においても有効な貧困削減政策の手掛かりを見出すことができるか否かを巡ってディスカッションを行う。講義と並行して、この分野のテーマで論文の作成に努めている参加者に報告をしてもらい、ディスカッションを通じて論文の進展を促して行きたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 大学院の受講生には、貧困削減政策というこの講義で扱う研究分野の事例によって、アカデミックな分析が、ドロドロした現実を改善するのにどのような形で役立っているのか、是非理解してもらいたい。「貧困」という経済現象を、簡単な図式や数式で表すことが、いかに楽しいことであるか、感じ取ってもらえれば幸いである。図式や方程式体系に表すことさえできれば、そのどの変数を操作すれば望ましい結果に導くことが可能になるはずである、このような政策的示唆を読み取り、これを実際の開発政策に活かすという一連の頭脳ワークに関心をもってもらうことが、授業の到達目標である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席率50%(8回出席)以上の学生のみ、プレゼンテーション、ディスカッション、レポートの評価対象とする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 高梨 和紘編著『開発経済学−貧困削減から持続的発展へ』慶應義塾大学出版会、2005.
 山形・黒崎共著『開発経済学−貧困削減へのアプローチ』日本評論社、2003.
 速水 佑次郎著『開発経済学−諸国民の貧困と富』創文社、2000.
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テレビ、Webサイト、新聞、雑誌等々に目を通し、講義内容と関連する情報を日常的にチェックすること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 問題意識をもって、参加して欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 第1部 国際機関および各国政府の開発援助理念と機能
  ①IBRD(国際開発復興銀行)
【第2回】
  ②IMF(国際通貨基金)
【第3回】
  ③UNDP(国連開発計画)
【第4回】
  ④UNESCO(国際連合教育科学文化機関)
【第5回】
  ⑤OECD諸国政府
【第6回】
 第2部 ミレニアム国際経済開発体制
  ①MDGs(ミレニアム開発目標)
【第7回】
  ②PRSPs(貧困削減戦略書)
【第8回】
  ③J.サックスの開発理念
【第9回】
  ④コロンビア大学地球研究所
【第10回】
  ⑤W.イースタリーの開発理念
【第11回】
 第3部 開発戦略の事例と論文指導
  ①OVOP農村振興プロジェクト
   論文テーマを巡る討論
【第12回】
  ②OVOP農村振興プロジェクト
   論文テーマを巡る討論
【第13回】
  ①MF農村振興プロジェクト
   論文テーマを巡る討論
【第14回】
  ②MF農村振興プロジェクト
   論文テーマを巡る討論
【第15回】
 まとめ:21世紀の国際開発政策の展望