Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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演習 II 吉田 治郎兵衛
3年必修(22年度以降入学生)/3年選択(21年度以前入学生)  2単位
【経営】 12-1-1110-3256-09A

1. 授業の内容(Course Description)
 21世紀我が国の成長が見込まれる分野にメディカルインダストリーとトラベルインダストリーがあり、経済交流の増大が予想される地域にBRICsがある。これらの要素の接点に新たなビジネスモデルがないかを予想するに、その1つにメディカルツーリズムがある。日本の先進医療技術を用いた健康診断や治療、中国伝統医学による慢性病治療やリハビリ、インドのローコストを生かした検査・治療などである。
 授業では、ケーススタディとして中国を取り上げる。伝統的に長寿志向に強い中国人の日本の先進医療技術や医薬品への関心は高い。日本側が中国の医療事情について熟知していれば的確な事業計画や医療プランが立てやすい。
 ビジネスモデルだけでなく国際的な共生社会の構築、調和ある開発を考慮するうえで、医学教育・技術研修などを関連付けたより高度の人間開発Human Developmentと社会開発Social Developmentを内包した新たな共生社会的経済システムを模索する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ①中国の医療衛生制度が文化大革命期から今日までどのように発展してきたかを理解する。
 ②中華人民共和国における医療経済、医療制度に関し独自の意見を持つ。
 ③アジアにおける医療経済分野での共生社会のあり方を模索する。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 成績は、次の3つの方面から評価する。
 ・授業中の積極性。
 ・配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し活用できる状態にしていること。
 ・最終授業の前にA4の紙1枚以上に1000字以上の授業に対する意見・感想・提言を書いて提出していること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 授業中に適時配布するが、量的に多くなることが予想される。学生は保管することを希望する。
 参考文献は、授業中に紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、中国語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望する。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、相談または報告すること。
 用語集を作成することが望ましい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。
 ・中国の医療経済の概況説明。
【第2回】
 ・改革開放初期の医療衛生事業――「社会主義国家」と医療衛生事業の改革開放政策の接点、開業医に対する統制の緩和、大中規模病院での院長責任制の試行、医療衛生機関での請負責任制の導入、診療報酬基準の引き上げ。
【第3回】
 ・医療衛生機関での請負責任制の全国的展開――1990代初期の状況、第3次産業としての医療衛生事業の育成、崩壊する基礎医療衛生機関。
【第4回】
 ・農村3級医療予防保健網の崩壊とてこ入れ――請負責任制と衛生院、技術研修制度の崩壊、三項建設事業。
【第5回】
 ・1990年代の医療財源の分析――総医療衛生費の内訳、一般物価上昇率との比較、医療費の高騰と賃金上昇率との比較。
【第6回】
 ・医療衛生事業における規制緩和政策の修正――中共中央と国務院の決定、病院の種別化と薬剤収入の分離。
【第7回】
 ・病院の医薬品集団入札購入の試行――試行の社会的背景、入札制度の内容、入札医薬品の選択、医療費の引き下げへの効果。
【第8回】
 ・北京近郊の医療機関の分析と研究。
【第9回】
 ・内陸部の医療機関の分析と研究。
【第10回】
 ・上海市の医療機関の分析と研究。
【第11回】
 ・貴州省、福建省の医療機関の分析と研究。
【第12回】
 ・改革開放から現在までの医療衛生事業の展開に対する討議。
【第13回】
 ・近年の中国の医療技術水準に関する情報はどのようにして収集できるのかの演習。
【第14回】
 ・日本の先進医療技術を用いた健康診断や治療を中国人の希望者へ紹介するモデルプランの作成。
【第15回】
 ・後期授業の総括。