Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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中国経済論 I 吉田 治郎兵衛
選択  2単位
【経営】 12-1-1110-3256-11A

1. 授業の内容(Course Description)
 20世紀末からのIT産業の発展に続き21世紀はバイオ産業も発展すると予測されている。製薬産業はバイオ産業において大きな分野を占め、中国そしてアジア地域の製薬産業は発展すると予想される。
 現段階において中国には世界のトップ10に入るような製薬企業はまだ育っていない。伝統薬、低技術でも生産可能な西洋医薬品及びジェネリック医薬品の生産が産業の主要部分を占める。但し中国の製薬企業は既に日本のジェネリック医薬品市場にプレゼンスがあり近い将来大きく市場を拡大する可能性がある。今後は2つの役割、サプライヤーとしての役割、競争相手としての役割を演じることになる。市場としての中国を考えた場合、1990年代以降高額な輸入医薬品に対する需要が急拡大し、日本の企業戦略、産業政策上からも重要なファクターとなっている。
 薬事行政の中の薬価政策は医療費に大きな影響与えている。
 この急成長が見込まれ国民生活にも大きく影響する経済分野を中国をケーススタディとして学生と共に考察してみよう。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ・中国語が出来なくても中国の主要経済統計と医薬品の生産統計を読解できる能力の育成。
 ・中国の医薬品産業の建国から今日までの発展状況の概要の理解。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 成績は、次の3つの方面から評価する。
 ・授業中の積極性。
 ・配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し活用できる状態にしていること。
 ・最終授業の前にA4の紙1枚以上に1000字以上の授業に対する意見・感想・提言を書いて提出していること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 授業中に適時配布するが、量的に多くなることが予想される。学生は保管することを希望する。
 参考文献は、授業中に紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、中国語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望する。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、相談または報告すること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。
 ・中国経済の概況説明。
【第2回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法①――人口、GDP、輸出総額・輸入総額・国際収支、消費者物価指数、都市住民平均住宅床面積など。
【第3回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法②――国家財政収入と支出、中央と地方財政、主要財政支出項目、外債購入残高など。
【第4回】
 ・建国前後の医薬品の生産・流通過程の国有化――建国初期の医薬品の分散生産管理、中薬の保護と生産、外国企業・商人の追放、軍事物質としての医薬品、国営系販売組織の形成と国有化、小売薬局の増加、農村への医薬品供給。
【第5回】
 ・建国初期の薬事行政、薬価管理――薬事行政の組織化、アヘン撲滅と麻酔薬の管理、医薬品の貿易への監督管理、品質管理における衛生省基準と地方衛生局基準、薬事行政による薬価管理の組織化。
【第6回】
 ・計画経済体制の発展期と医薬品の生産状況と管理部門の変遷――原料薬の生産と重点工場、工商共作の形成と発展、トラストプロジェクト期、薬価補助。
【第8回】
 ・文化大革命後の復興政策――医薬品管理局系列による統一管理体制の再構築、
過剰生産設備の整理、低品質の医薬品生産工場への技術指導。
【第9回】
 ・医薬品管理法の施行――内容と政策背景。
【第10回】
 ・市場による価格調整への一部移行と医薬品管理法の不備の表面化――市場化された医薬品の内訳、中央と地方の所轄争い。
【第11回】
 ・医薬品販売方法の激変と医薬品市場の形成――製薬企業の直接販売の開始、医薬品販売員の出現とその功罪、初期医薬品市場の形成。
【第12回】
 ・医薬品の仕入と裏リベート商習慣の発生――仕入れ方法の激変、仕入れ担当の資格、裏リベートとは何か。
【第13回】
 ・国務院の医薬品販売方法に関する緊急指導――国務院の第1次、第2次緊急通。
【第14回】
 ・製薬企業の販売戦略と病院の医薬品の集団入札制度の発足と試行――病院に溢れる医薬品販売員、幾つかの病院による医薬品集団入札の試行。
【第15回】
 ・前期授業の総括。