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授業の内容(Course Description) |
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21世紀における人類の大きな課題のひとつが、いかにして地球温暖化を食い止めるかにあることは、年を追うごとに明らかになってきていると言ってよいでしょう。しかし、わが国は、温室効果ガスを2020年に1990年比25%削減するという主要国の中で突出した排出量削減目標を掲げたものの、米中など主要排出国を含めた新たな国際的枠組みは、いまだに構築されないままに過ぎてきています。 春期授業の前半では、地球温暖化を防止するためにはどのようなことが求められているのか、中長期的な視点から順を追って概説するとともに、「ポスト京都議定書」(京都議定書失効後の新たな枠組み)をめぐる主要国の駆け引きの現況を説明していきます。ついで、春期授業の後半では、わが国において、温室効果ガス削減に向けて進められている「国内排出量取引」、特に「国内クレジット」制度や「カーボンオフセット」といった最先端の取り組みの実際などを紹介します。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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皆さんは、ごみの分別回収の意義など、すでにある程度「環境教育」を受けてこられたと思います。この授業では、地球環境問題についてのより包括的な理解を得るとともに、温暖化防止に向けたマクロ的な取り組みの実際を学び、知識を習得していくことを目標としています。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席:30点。毎回、質問票を配布しますので、わからないことや意見などがあったらぜひ書き込んでください。次の授業で説明します。積極的な質問や発言を高く評価します。 試験:70点。授業に継続して出席していれば回答できるような設問です。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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今現在、世界と日本で起きていることを逐次説明していくために、毎回、図表を中心とした資料を配布します。講義の進展に合わせ、関連する分野について、参考文献や拙著(「地球温暖化対策と環境ビジネス」(仮題))を適宜紹介していきます。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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地球環境問題に関する新聞記事は毎日のように紙面を賑わしています。テレビの報道なども含め、できるだけ関心を持って見るようにしてください。この授業を通じて、だんだん理解が深まってくるはずです。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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地球環境問題は、皆さんの将来の生活そのものに深く関わっている問題です。自らの問題として、どのように捉えていったらよいのか考えていってください。 なお、秋期授業では、地球環境問題の解決を目指す様々な「環境ビジネス」の実際を、豊富な現場取材に基づいて紹介していきますが、春期授業でのマクロ的な理解が大前提になりますので、必ずⅠとⅡを通して受講してください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション -地球環境問題と環境ビジネス 【第2回】 「不都合な真実」 -地球温暖化の現状、今後の気温上昇の予測と被害の推計 【第3回】 「長期半減目標」とは -2050年までには温室効果ガス排出量の半減が必要 【第4回】 2050年「世界半減目標」の実現可能性と原発問題 【第5回】 50年「世界半減目標」を可能にする革新的技術への期待 -二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)と水素利用など 【第6回】 「ポスト京都議定書」(1)「京都議定書」後の2020年を目処とした新たな枠組み交渉 【第7回】 「ポスト京都議定書」(2)2020年「中期目標」に向けた中印、米、EU等の駆け引き 【第8回】 わが国が掲げた20年「25%削減目標」は実現できるのか -全量固定価格買取制度など 【第9回】 「京都議定書目標達成計画」に基づくわが国の取組みの現状(1) -京都議定書と「京都メカニズム」(海外からの排出枠の購入) 【第10回】 「京都議定書目標達成計画」に基づくわが国の取組みの現状(2) -「温暖化対策法」と「省エネ法」による規制の強化 【第11回】 すでに始まっている国内排出量取引(1) -「自主参加型国内排出量取引制度」(JVETS)の実績 【第12回】 すでに始まっている国内排出量取引(2) -中小企業の取組みを促す「国内クレジット」制度 【第13回】 「カーボンオフセット」とは -消費者も排出量削減に貢献できるカーボンオフセット商品 【第14回】 「オフセットクレジット」制度(JVER) -森林保全事業などから生み出される排出枠 【第15回】 春期のまとめ
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