1. |
授業の内容(Course Description) |
|
東アジアにおける広域秩序形成の試みは今に始まったことではない。歴代の中国王朝は強大なパワーを背景にアジアの広範な地域に、冊封と朝貢を軸とし中国を頂点とする階層的な国際秩序を19世紀半ばまで形成・保持してきたし、近代になると日本が強大な軍事力と西欧から導入した近代文明を背景として東アジアから太平洋地域にまで勢力を広げ、大東亜共栄圏の形成を構想した。このかつて東アジアに存在した広域秩序と構想を検討してその歴史的功罪を精査し、東アジア共同体形成に関する知見を広めたい。冊封朝貢体制下・大東亜共栄圏内の文化状況、中華帝国・日本の異文化に対する理解や対応には注目したい。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
到達目標:東アジアにおける広域秩序形成ないし構想の先例を研究し、東アジア共同体形成に関する知見を広める。 テ ー マ:東アジア広域秩序の先例研究―冊封朝貢体制(華夷システム)・大東亜共栄圏構想を中心に―
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
レポート(40%)、授業中の質疑応答(40%)、定期試験(20%)の結果を総合的に判断して成績をつける。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
テキスト プリント。池田浩士編『大東亜共栄圏の文化建設』(人文書院)。岩本憲児編『映画と「大東亜共栄圏」』(森和社)。多仁安代『大東亜共栄圏と日本語』(勁草書房)。古川ちかし他編『台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか』(三元社)。ピーター・ドウス『帝国という幻想―「大東亜共栄圏」の思想と現実―』(青木書店)。 参考書・参考資料等 特に指定しない。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
各回の授業に関する予習を十分にしておく。予習が不十分な場合、減点するので注意。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
特になし。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 ガイダンス。近代以前の中華帝国による広域秩序の形成を説明する。当時の中華帝国のパワーとその源泉を示す。パワーの表出事例として明朝の南洋遠征(鄭和の大航海)を取り上げる。 【第2回】 冊封朝貢体制(華夷システム)について概説し、課題を与える。冊封朝貢体制下の朝鮮などに関する書籍数冊程度を取り上げ、レポート報告を指示する。 【第3回】 レポートを発表させる。質疑応答。 【第4回】 冊封朝貢体制の歴史的功罪を総括し、広域秩序形成に際しての教訓を汲み取る。 【第5回】 大東亜共栄圏の形成から崩壊までの過程を説明し、課題を与える。大東亜共栄圏が東アジアや太平洋地域に与えた文化面での影響を研究すべく下記の書籍を読みレポート報告をするよう指示する。 池田浩士編『大東亜共栄圏の文化建設』(人文書院)。岩本憲児編『映画と「大東亜共栄圏」』(森和社)。多仁安代『大東亜共栄圏と日本語』(勁草書房)。古川ちかし他編『台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか』(三元社)。ピーター・ドウス『帝国という幻想―「大東亜共栄圏」の思想と現実―』(青木書店)。 【第6回】 『大東亜共栄圏の文化建設』前編をレポート発表させる。質疑応答。 【第7回】 『大東亜共栄圏の文化建設』後編をレポート発表させる。質疑応答。 【第8回】 『映画と「大東亜共栄圏」』前編をレポート発表させる。質疑応答。 【第9回】 『映画と「大東亜共栄圏」』後編をレポート発表させる。質疑応答。 【第10回】 『大東亜共栄圏と日本語』前編をレポート発表させる。質疑応答。 【第11回】 『大東亜共栄圏と日本語』後編をレポート発表させる。質疑応答。 【第12回】 『台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか』をレポート発表させる。質疑応答。 【第13回】 『帝国という幻想』前編をレポート発表させる。質疑応答。 【第14回】 『帝国という幻想』前編をレポート発表させる。質疑応答。 【第15回】 大東亜共栄圏の歴史的功罪を総括し、広域秩序形成に際しての教訓を汲み取る。定期試験。「広域秩序と文化」という題目で6,000字程度の小論文を作成し提出させる。
|