Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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運動生理学 I 神谷 正明
選択  2単位
【人間文化】 12-1-3074-0154-14A

1. 授業の内容(Course Description)
 運動生理学は生理学を基礎に立脚している。生理学は、生命維持に必要な人体の仕組み、あるいは、身体運動を含む生命活動を維持している人体の基本的な仕組みを追及する学問領域である。それに対し、運動生理学は、運動による人体の機能変化、さらに、運動によって人体が獲得できる身体能力変化の法則性を追及する学問領域である。
 ここでは、運動の一般法則を適用した人体運動の特性を考えた上で、骨格系・骨格筋・筋の収縮機構・興奮収縮連関・筋収縮運動の神経性調節という流れに沿った問題と呼吸機能・循環機能について健康上の留意点や体力上の問題にもふれながら講義する。
 これらの知識は、対象者が競技力向上を目指すアスリートや健康増進を目指す老齢者・病弱者・障害者・年少者・健常者であることのいかんを問わす、指導する上で必要となる知識である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 生体の基礎的な生理学的働きを理解する。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業参加度(最大20%)、筆記試験(80%)
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 運動生理学関連図書全般
 『公認指導者養成テキスト共通科目』日本体育協会
 『健康運動指導士養成講習会テキスト』健康・体力づくり事業財団
 『フィットネス基礎理論』日本エアロビックフィットネス協会
 『運動生理学の基礎と発展』フリースペース
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 運動時の自分の身体に思いをいたらす。指導者としての自分に必要な知識に思いをいたらす。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 演習をかねて単元ごとに小テスト(ノート・プリントの参照可、相談可)を実施するので、理解を深めるための足掛かりにしてほしい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 運動生理学序説
【第2回】
 運動と筋の生理(1)
 骨格筋の構造と収縮(筋の分類、骨格筋の構造、興奮収縮連関、収縮様式の分類、エネルギー産生機構と筋線維によるエネルギー特性、収縮熱と回復熱などを含む)
【第3回】
 運動と筋の生理(2)
 筋力の一般的性質ならびに筋線維の種類と収縮特性(筋の長さと張力の関係、筋張力と収縮速度の関係、横断面積と筋力、速筋と遅筋の比較と収縮特性、心理的筋力と生理的筋力などを含む)
【第4回】
 運動と筋の生理(3)
 骨格筋の神経支配と運動特性(反射弓の構成、主動筋と拮抗筋、相反神経支配、屈曲反射と伸展反射、運動単位と筋力発揮などを含む)
【第5回】
 運動と筋の生理(4)
 筋パワー、持久力、運動トレーニングとDNAの働き(筋力、筋パワー、筋持久力の神経調節、DNA・m-RNA・t-RNAの基本的な役割、荷重負荷とミオシンアイソフォーム、神経支配による筋線維の変化、筋の損傷と適応などを含む)、小試験
【第6回】
 運動と神経の生理(1)
 神経系の構造と機能(神経系の分類、ニューロンの一般的形状と機能、神経系の一般的性質、運動に関係する大脳皮質の中枢、辺縁系、大脳基底核、中脳、小脳、延髄、脊髄などの働きを含む)
【第7回】
 運動と神経の生理(2)
 運動に関する末梢神経系の役割
 (α-・γ-運動神経、Ia-感覚神経、筋紡錘、体性神経反射などを含む)
【第8回】
 運動と神経の生理(3)
 神経伝導路と随意運動(錐体路、錐体外路、随意運動と不随意運動、運動と平衡感覚機能・視覚機能、γ-ループ、学習と記憶、などを含む)
【第9回】
 運動と神経の生理(4)
 自律神経および一過性運動時の神経機能反応(運動と交感神経の働き、運動単位の動員順序、筋疲労に伴う神経興奮と収縮力、疲労時の中枢神経の活性化などを含む)、小試験
【第10回】
 運動と呼吸の生理(1)
 呼吸器の構造と機能(呼吸器の役割と構造、呼吸運動と呼吸曲線、ガス交換の原理、ガスの運搬、酸素解離曲線・酸素飽和度などを含む)
【第11回】
 運動と呼吸の生理(2)
 一過性運動と呼吸の変化(呼吸運動の変化とその調節、酸素需要量と供給量、運動強度と無酸素性換気閾値、最大酸素摂取速度、運動強度と呼吸効率・最大換気量、運動中の特殊呼吸、トレーニング効果などを含む)、小試験
【第12回】
 運動と循環の生理(1)
 心臓脈管係の構造と機能(心臓の構造と機能、刺激伝導系、ECG、拍動周期と拍出量・心拍数、スターリングの法則、脈管系の構造と血液循環、体循環と血液量、血圧などを含む)
【第13回】
 運動と循環の生理(2)
 運動時の心脈管系の反応(交感神経による心血管系の応答、還流血と一回拍出量、静脈ポンプ、運動強度と心拍数・心拍出量・PRP、血液の再配分、血圧の変化、運動による血管の化学性調節などを含む)、小試験
【第14回】
 運動と疲労
 中枢性疲労と末梢性疲労(神経性疲労、興奮収縮連関における疲労、ATPの産生抑制、筋肉中水素イオン濃度の影響、血中アミノ酸濃度の変化がもたらす脳内物質の変化、ATP分解がもたらす影響などを含む)、小試験
【第15回】
 補講