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授業の内容(Course Description) |
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運動生理学は生理学を基礎に立脚している。生理学は、生命維持に必要な人体の仕組み、あるいは、身体運動を含む生命活動を維持している人体の基本的な仕組みを追及する学問領域である。それに対し、運動生理学は、運動による人体の機能変化、さらに、運動によって人体が獲得できる身体能力変化の法則性を追及する学問領域である。 ここでは、運動の一般法則を適用した人体運動の特性を考えた上で、血液、免疫、消化吸収、代謝、排泄、体温調節、ホルモン、骨、疲労、特殊環境下における生体反応について健康上の留意点や体力上の問題にもふれながら講義する。 これらの知識は、対象者が競技力向上を目指すアスリートや健康増進を目指す老齢者・病弱者・障害者・年少者・健常者であることのいかんを問わす、指導する上で必要となる知識である。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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運動による身体の応答について生理学的観点から理解する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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授業参加度(最大20%)、筆記試験(80%)
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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運動生理学関連図書全般、 『公認指導者養成テキスト共通科目III』日本体育協会 『健康運動指導士養成講習会テキスト』健康・体力づくり事業財団 『フィットネス基礎理論』日本エアロビックフィットネス協会 『運動生理学の基礎と発展』フリースペース
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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運動時の自分の身体に思いをいたらす。指導者としての自分に必要な知識に思いをいたらす。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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演習をかねて単元ごとに小テスト(ノート・プリントの参照可、相談可)を実施するので、理解を深めるための足掛かりにしてほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 運動と血液(1) 血液の成分と働き(血液量、比重、pH、血液としての働き、血液の組成とその働きなどを含む) 【第2回】 運動と血液(2) 運動による血液成分の変化(一過性あるいは長期にわたる運動における赤血球数の変化、溶血、貧血、MCV・MCHの変化、血液粘度の変化、高地トレーニングと赤血球数、一過性・長期にわたる運動・運動強度と白血球数の変化、血小板の変化、プラスミンなどを含む) 【第3回】 運動と血液(3) 免疫機能(免疫機能一般、体力と免疫、運動が免疫機能に及ぼす影響とその功罪などを含む)、小試験 【第4回】 運動と消化吸収 消化吸収の概略と運動による消化吸収の変化(消化器系の構造と機能、運動強度が蠕動・消化液分泌・消化ホルモンに及ぼす影響、無機質を含む各栄養素の吸収と運動などを含む) 【第5回】 運動と代謝(1) 代謝の概略とエネルギー(糖質代謝、糖新生、脂質代謝、アミノ酸代謝、貯蔵エネルギー基質、運動強度とエネルギー供給機構、肥満、トレーニングと供給機構の変化、グリコーゲンローディングなどを含む) 【第6回】 運動と代謝(2) エネルギー代謝(基礎代謝率、安静代謝率、エネルギー代謝率、METS、運動処方の原理などを含む)、小試験 【第7回】 運動と排泄 腎機能の概略と運動による腎機能の変化(腎臓の基本構造と機能、分泌ホルモンとビタミン、濾過量の変化、後運動性利尿現象、尿たんぱく質、尿酸、血尿、潜血などを含む) 【第8回】 運動と体温調節 熱産生と熱放散、発汗と不感蒸泄、体温調節のメカニズム、運動中の体温変化、環境温度と体温変化、運動時の体温調節、などを含む、小試験 【第9回】 運動とホルモン(1) 成長・発達と運動に関わるホルモン(成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、バゾプレシン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾル、アルドステロン、インスリン、グルカゴン、レニン、カルシトリオール、テストステロンなどの分泌場所と基本的な働き) 【第10回】 運動とホルモン(2) 運動時のホルモン応答(一過性運動による分泌反応、血糖・遊離脂肪酸に作用するホルモン、タンパク質同化・筋の増殖・骨の増殖に作用するホルモン、電解質調節とホルモン、心拍数・血圧に関するホルモン、水分調節に関わるホルモン、体温調節に関わるホルモン、視床下部ホルモンの動向、などのうち、解説が不足しているものについて補足する)、小試験 【第11回】 運動と骨 骨の生理学的概略と運動(骨の働きと構造、骨の発育と骨代謝、骨粗鬆症、宇宙飛行士と骨、運動と骨量などを含む) 【第12回】 発育・発達と老化(1) 発達曲線と運動、月経と運動、子どもの体力低下とスポーツ障害、加齢による身体の変化、加齢と運動の効果 【第13回】 発育・発達と老化(2) 思春期、青年期の運動・トレーニング 【第14回】 運動と特殊環境(1) 低気圧下の生体反応、高温環境下の生体反応(熱中症対策を含む)、低温環境下の生体反応[4-9] 【第15回】 運動と特殊環境(2) 水中環境下における生体反応、小試験
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