Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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現代文化論2 上田 仁志
選択  2単位
【現代ビジ】 12-2-2110-0078-18A

1. 授業の内容(Course Description)
 日本近現代小説入門の授業を行います。文学的トピックや作家と作品の紹介を通して人間文化(現代文化)を考えます。文学史を順繰りにたどりはしませんが、時代ごとの文学表現の違いや変化が感じ取れるよう新旧作品を対比し、関連付けながら話を進めます。古い年代の作品でも現代の目で見て興味深いものを選ぶつもりです。講義形式の授業が基本になりますが、文学は知識として与えられるより、実際に作品を読み味わい自分で考えることが肝心なので、読解力や思考力、表現力をつけるための課題作業を織り交ぜ、小説の面白さを自己発見できる授業を目指します。
 秋期セメスターでは、「日本紙幣の顔になった二作家・夏目漱石と樋口一葉」を皮切りに、「海外での評価も高い大正・昭和の二大作家・谷崎潤一郎と川端康成」「プロレタリア文学の現代性(小林多喜二、葉山嘉樹、黒島伝治など)」、「芥川賞・女性作家編(中里恒子、由起しげ子、小川洋子、川上弘美、綿谷りさ、朝吹真理子など)」、「直木賞・女性作家編(堤千代、向田邦子、宮部みゆき、桐野夏生、角田光代、桜庭一樹など)」を論じる予定ですが、取り扱う作品は参加者の希望を踏まえて柔軟に対応します。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 (1)さまざまな文学的トピックや小説表現を通して、社会や思想、価値観の変化などを学ぶ。
 (2)現代文(小説・物語)の読解力をつける。具体的には、小説の文章を「物語文」に要約する。文脈から登場人物の心情や事実関係を読み取る、など。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 平常点として、毎回、小課題または小テストを実施します。また学期半ばの授業中に中間テスト、最終回の授業中に期末テストを実施します。評価の目安は平常点50%、中間・期末テスト50%とし、総合的に判断します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 教科書は使用しません。
 レジュメや資料などの印刷物は、随時、配布します。欠席などで入手しそこなった配布物は、残部がある限り再配布しますが、後になっても必ず渡せるという保証はできませんので、注意してください。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 準備学習としては、指定する課題を行うこと。課題内容は、配布する文章をていねいに読んで、設問に解答すること。または指定する項目やキーワードを下調べしてくること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 (1)オリエンテーションを含む第1回の授業は重要です。必ず第1回の授業から出席してください。
 (2)出席は「完全カードリーダー制」です。入室時と退室時に学生証をカードリーダーに当てて読み取らせてください。学生証忘れや学生証の当て忘れにはくれぐれも注意してください。学生証を忘れた場合は、授業時にその旨を申し出た上で、指定の手続きをしない限り、出席として認定しません。
 (3)忌引きを含む公欠については、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
 (4)開始時刻から15分を過ぎた入室は遅刻になります。遅刻は3回ごとに欠席1回としてカウントします。
 (5)交通機関の遅延などの不可抗力による遅刻については、授業時にその旨を申し出た上で、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
 (6)遅刻者(開始後15分過ぎの入室者)は、教室最前列付近に着席してください。
 (7)授業中の私語や携帯電話操作、居眠り、無断で教室に出入りする、その他、授業の効果を妨げる一切の行為は厳禁です。注意しても改善が見られない(と判断した)場合は、出席を取り消します。
 (8)状況により、座席を指定する場合があります。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 履修上の注意点/秋期講義のあらまし/明治二十・三十年代の小説
【第2回】
 日本紙幣の顔になった二作家(1)
 樋口一葉「たけくらべ」と「たけくらべ」論争
【第3回】
 日本紙幣の顔になった二作家(2)
 夏目漱石「こころ」と「こころ」論争/島田雅彦「彼岸先生」
【第4回】
 海外での評価も高い大正・昭和の二大作家(1)
 谷崎潤一郎「痴人の愛」、「春琴抄」
【第5回】
 海外での評価も高い大正・昭和の二大作家(2)
 川端康成「雪国」、「古都」
【第6回】
 プロレタリア文学の現代性(1)
 小林多喜二「蟹工船」ブーム
【第7回】
 プロレタリア文学の現代性(2)
 葉山嘉樹「海に生くる人々」/黒島伝治「武装せる市街」
【第8回】
 秋期前半の授業内容のまとめ/中間テスト
【第9回】
 新旧の芥川賞作家から(女性作家編)(1)
 中里恒子「乗合馬車」/由起しげ子「本の話」
【第10回】
 新旧の芥川賞作家から(女性作家編)(2)
 小川洋子「博士の愛した数式」/川上弘美「センセイの鞄」
【第11回】
 新旧の芥川賞作家から(女性作家編)(3)
 綿谷りさ「蹴りたい背中」/朝吹真理子「きことわ」
【第12回】
 新旧の直木賞作家から(女性作家編)(1)
 堤千代「小指」/向田邦子「思い出トランプ」
【第13回】
 新旧の直木賞作家から(女性作家編)
 宮部みゆき「火車」/桐野夏生「OUT」(2)
【第14回】
 新旧の直木賞作家から(女性作家編)
 角田光代「八月の蝉」/桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」(3)
【第15回】
 秋期後半の授業内容のまとめ/期末テスト