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授業の内容(Course Description) |
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文化財を保存・活用し、歴史を考えるための資料とするためには、自然科学的な手法が不可欠です。材質や技法の分析、原材料の産地や製作地の推定、年代の測定、遺跡出土遺物の保存処理などの分野で、様々な自然科学的な方法による取り組みが行われ、多くの成果をあげています。また文化財は金属・土・岩石・鉱物などの無機物に加え、木材・漆・骨角・貝殻などの有機物といった多様な原材料で構成されているため、それぞれの素材に適応した調査法や保存処理法が必要となります。 この実習では、火山灰(テフラ)・石器・土器などを構成する岩石や鉱物を観察する方法、機器を用いて文化財の形状や構造を可視化して調べる方法、遺跡から出土した金属製品や木製品の保存処理法、発掘現場での文化財対処法などについて、実際に作業を体験します。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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岩石や鉱物を観察する分野では、肉眼観察、ルーペ、実体顕微鏡、偏光顕微鏡などの観察を通し、石器や土器などの文化財の特徴について基礎的知識を得ることを目標とします。機器実習では、一連の操作を実体験して、各種測定法を評価できることを目ざします。遺物の保存処理と現場対処法の分野では、基本的な技術と知識を身につけることを目的とします。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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出席点(50%)とレポート(50%)で評価します。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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分野ごとに資料を配布します。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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文化財の研究は、歴史的な知識に加え自然科学的な知識が要求されます。理解しづらい理系の用語については、そのままにせず、こまめに調べる習慣を普段からつけてください。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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文化財の仕事は、実際にモノに接することが重要な要素となります。実践的なこの実習を一つの機会として、文化財をみる目を養い、造詣を深めてください。「文化財科学Ⅰ」をあわせて履修することを勧めます。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 岩石・鉱物実習1 【第2回】 岩石・鉱物実習2 【第3回】 火山灰の観察 【第4回】 石器の観察 【第5回】 土器の観察 【第6回】 機器実習1(X線透過写真撮影ほか) 【第7回】 機器実習2(3次元測量、赤外線スキャナーほか) 【第8回】 機器実習3(電子顕微鏡ほか) 【第9回】 金属製品の保存処理1 【第10回】 金属製品の保存処理2 【第11回】 金属製品の保存処理3 【第12回】 木製品の保存処理1 【第13回】 木製品の保存処理2 【第14回】 現場での文化財対処法1 【第15回】 現場での文化財対処法2
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