Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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エコツーリズム論 松本  修
選択必修  2単位
【観光経営】 12-1-1130-2713-18A

1. 授業の内容(Course Description)
 魅力のある観光地は、その魅力ゆえに有名になり人が集まるようになると、とたんに魅力のない観光地になるという実感がある。ある観光地について、観光に係る活動が盛んになることが、自然環境のみならず人情、風俗等いろいろな意味での観光資源を損ない、その観光地の魅力を減殺する傾向があるように思われる。
 近年、経済活動と環境との調和の必要性が強く認識され、いわゆる持続可能な開発が世界的な課題となっているが、観光の面でも、持続可能な観光という趣旨から、観光資源を損なわないような観光活動への要請と工夫が始まっている。エコツーリズムは、このような流れに沿う観光の考え方ないしは観光の形態である。
 持続可能な観光という意味では、エコツーリズムよりも広い、サステイナブルツーリズムという概念があるが、エコツーリズムでは、特に自然環境やこれと密接な関係を有する地域の生活・文化を対象とし、それらと触れ合うことや理解を深めることを楽しむ観光という面が強い。
 しかし、実際上、エコツーリズムに関する議論は、必ずしもそのような自然に関連した観光に限定されず、より一般的に、観光資源を損なうことのないような観光、むしろ、可能であれば観光資源の活用が、観光利益の地元への還元等を通して、その観光資源の保全とさらなる活用につながるような観光、すなわちサステイナブルツーリズムそのものに広がる傾向がある。この授業においてもエコツーリズムのそのような側面を重視する。
 エコツーリズムを学ぶことには、従来型の観光への反省の意味合いを含んだ新たな観光の考え方に触れるという意味で、学生諸君が今後の観光を考える上で意義があると思う。
 この授業においては、このようなエコツーリズムについて、基本的な知識と理解を深めるとともに、学生諸君の興味の喚起を試みることとする。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 エコツーリズムについて、基本的な知識と理解を得ること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業への出席状況を20%、期末定期試験の結果を80%として総合的に評価する。期末定期試験においては、主として、授業の中で述べたことや、配布したプリントの内容等に関連した出題をし、授業内容の日頃の反芻(はんすう)の度合いや理解度を見させていただく。授業への出席状況は、学生から特段の申し出のない限り、出席管理システムの記録により判定するので、入退室の際のカードリーダーへのタッチを励行されたい。また、授業中の私語等、授業の妨げとなる態度の目立つ学生は、評価を下げる。
 なお、期末定期試験の受験は必須であり、これを受験しない場合は、R評価となるのでご注意願いたい。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:特に指定しない。
 参考文献:吉田春生 著『エコツーリズムとマス・ツーリズム』原書房
      木原啓吉 著『ナショナル・トラスト』三省堂
      小方昌勝 著『国際観光とエコツーリズム』文理閣
      小林寛子 著『エコツーリズムってなに?』河出書房新社
      環境省 編集『エコツーリズム さあ、はじめよう』財団法人日本交通公社
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 何よりも予習・復習が基本である。特に復習は、授業終了後、記憶が新しいうちに授業内容のポイントを頭の中で整理するようにする。そのためには、走り書きしたノートについて、後で見ても読めるように乱暴な字を書き直したり、ポイントを要約して付記したりする等の整理を行うことも一法である。また、復習の中で、興味を感じた点等につき調べることも自らの勉学方法の確立と理解の深化のために良い。
 復習を溜めてしまうと、記憶が薄れ、かつ、分量がいつの間にか膨大になってしまい、試験の前に苦労するので注意すること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 インターネットを探ってみても、エコツーリズム的な観光メニューが各地で多く用意されている。エコツーリズムへの理解を深め、また、その実践の現状を知る意味からも、一度自ら楽しんでみられたら良いと思う。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
 授業開始後の状況に応じて適宜、計画を変更することがあり得る。
【第1回】
 授業方針及び講義計画
【第2回】・【第3回】
 エコツーリズムの概念
【第4回】~【第8回】
 サステイナブルツーリズムの思想
【第9回】・【第10回】
 海外のエコツーリズム
【第11回】~【第13回】
 日本のエコツーリズム政策
【第14回】・【第15回】
 日本各地のエコツーリズムの事例