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授業の内容(Course Description) |
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自国の歴史に無関心な国民には誇りがない。日本通史を虚心坦懐な姿勢をもって学ぶことによって、先人たちが真摯な努力によって築き上げてきた日本の「歴史と伝統」を正しく把握することができる。 海外において、外国友人との会話で必ずといってよいほど出る話題は、出身国の歴史である。日本史を語れない場合は、この人は友情を失っても解さない人だと侮蔑の念をもたれるであろう。
授業内容に関しては、春季の継続として、国家形成の過程と意義を把握する。江戸時代中期から幕末・開国を経て、近代史及び現代史の講義を実施する。江戸時代の政治・社会体制は弱点を有しつつも、組織疲労を最小限にし、しかも戦争消耗がなかったことが、幕末の激動を乗り越え、アジアで欧米式の国家体制をいち早く構築を可能にした。その功罪は一体どのようなものか。それが今日に至るまでの日本にいかなる影響を与えているのであろうか。富国強兵に始まった国家の近代化の過程及びその結果が招いた太平洋戦争の敗戦、さらに戦後復興から今日に至るまでの連綿とした問題の所在とそれらの歴史的意義を把握する。春季(古代から近世)で得た結果との関連性を把握し、日本人及び人間の本質に迫りたい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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一般教養として広く日本の歴史と伝統を虚心坦懐に学び、一言で言えば、“己れ自身を知る”ことに役立てて欲しい。自己を知ることは相手、社会、国家、国際関係を知る上での基本である。自他は相互作用によってそれぞれが鮮明になる。歴史を過去のこととして葬るのではなく、過去の精緻な観察によってこそ、現在および現在と過去との具体的な相違が明確に理解・認知されることを把握して欲しい。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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講義参加は必須であり、毎回出席を取る。三分の一以上の欠席者は成績評価の資格を失う。時間内に数回ミニテストを行うと同時に、最終的に定期試験をもって総合的に評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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① 講義テキストはその時間に配布する。 ② 参考文献: * 笠原一男『詳説 日本史研究』(山川出版社、一九八九年) * 佐々木潤之助他『概説 日本歴史』(吉川弘文館) * 武光誠『日本史の全貌』(青春出版社、2004年) * 黒野耐『日本を滅ぼした国防方針』(文芸春秋、平成14年)
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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関東地方に所在するということは、歴史的にも貴重な幅広い遺産の上に立っているということであり、可能であれば、是非、学生諸兄姉と図り、時間外に史跡研修等を行いたい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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歴史に対する関心度は国民的な知的水準を諮る大きなパラメータである。学生は、他人事ではなく、このことを自分のこととして良く自覚し、先輩・先人たちがどのようにしてこの国の独立を守り、国の運営をしてきたかを真剣に学び、人間の本質を抉って欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション(授業目的、到達目標、講義内容の説明等)、江戸時代(1) 【第2回】 江戸時代(2) 【第3回】 江戸時代(3) 【第4回】 明治政府の成立と富国強兵、帝国憲法、帝国議会 【第5回】 日清戦争、北清事変、日露戦争(1) 【第6回】 日露戦争(2) 【第7回】 戦後経営、帝国国防方針 【第8回】 大正政変前後 【第9回】 第一次世界大戦の参戦と教訓 【第10回】 ワシントン体制の構築と日本 【第11回】 軍部の台頭(満州事変勃発から華北分離工作へ) 【第12回】 日中関係と泥沼化の構造 【第13回】 太平洋戦争開戦経緯、太平洋戦争の全貌とその意義 【第14回】 戦後復興と高度経済成長 【第15回】 現代の世界と日本
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