Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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超域政治文化論特殊研究 中村 楼蘭
選択  4単位
【超域文化専攻】 12-1-1410-0402-15

1. 授業の内容(Course Description)
 東アジアにおける広域秩序形成の試みは今に始まったことではない。歴代の中国王朝は強大なパワーを背景にアジアの広範な地域に、冊封と朝貢を軸とし中国を頂点とする階層的な国際秩序を19世紀半ばまで形成・保持してきたし、近代になると日本が強大な軍事力と西欧から導入した近代文明を背景として東アジアから太平洋地域にまで勢力を広げ、大東亜共栄圏の形成を構想した。このかつて東アジアに存在した広域秩序と構想を検討して、その歴史的功罪を精査し、東アジア共同体形成に関する知見を広めたい。冊封朝貢体制下・大東亜共栄圏内の文化状況、中華帝国・日本の異文化に対する理解や対応には注目したい。履修者のレポート発表を軸に質疑応答・議論を展開していく授業形態。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 到達目標:東アジアにおける広域秩序形成ないし構想の先例を研究し、東アジア共同体形成に関する知見を広める。
 テーマ:東アジア広域秩序の先例研究-冊封朝貢体制(華夷システム)・大東亜共栄圏構想を中心に-
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 レポート(30%)、授業中の質疑応答・議論(40%)、定期試験(30%)の結果を総合的に判断して成績をつける。定期試験では、①確かな知識に基づいて意見を述べているか、②積極的に発言しているか、③相手の見解を理解した上で適切な言葉で対応しているかなどを考慮して採点する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:池田浩士編『大東亜共栄圏の文化建設』(人文書院)。岩本憲児編『映画と「大東亜共栄圏」』(森和社)。多仁安代『大東亜共栄圏と日本語』(勁草書房)。古川ちかし他編『台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか』(三元社)。ピーター・ドウス『帝国という幻想-「大東亜共栄圏」の思想と現実』(青木書店)。
 参考書:特になし。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 シラバスにそってレポートの準備、あるいは事前の予習をしておいてほしい。レポート発表形式で授業は進められるので、レポート担当者は特に入念に準備する。発表時に配付するレジュメを必ず準備する。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 特になし。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】ガイダンス。シラバスを確認し、レポート発表の順番を決める。
【第2回】第1回レポート発表。「近代以前の中華帝国による広域秩序の形成」。※冊封・朝貢体制(華夷システム)の概容・特色、帝国のパワーとその表出事例に言及する。
【第3回】第2回レポート発表。「明帝国の広域秩序と海外進出」。
【第4回】議論。「冊封朝貢体制(華夷システム)の歴史的功罪」。※広域秩序形成のための教訓を汲み取る。
【第5回】第3回レポート発表。「日本の大東亜共栄圏構想の概容」。※大東亜共栄圏構想が東アジアや太平洋地域に与えた文化面での影響を研究する材料としてテキストを列挙する。
【第6回】第4回レポート発表。『大東亜共栄圏の文化建設』前編。
【第7回】第5回レポート発表。『大東亜共栄圏の文化建設』後編。
【第8回】第6回レポート発表。『映画と「大東亜共栄圏」』前編。
【第9回】第7回レポート発表。『映画と「大東亜共栄圏」』後編。
【第10回】第8回レポート発表。『大東亜共栄圏と日本語』前編。
【第11回】第9回レポート発表。『大東亜共栄圏と日本語』後編。
【第12回】第10回レポート発表。『台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか』。
【第13回】第11回レポート発表。『帝国という幻想』前編。
【第14回】第12回レポート発表。『帝国という幻想』後編。
【第15回】定期試験。「『大東亜共栄圏構想の歴史的功罪』と『広域秩序と文化』に関する総括議論」。※広域秩序形成のための教訓を汲み取る。