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授業の内容(Course Description) |
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「国際金融」などと言うと、一昔前までは、特別な分野で特別な仕事をしている人にしか関係ないものと思われていたが、今や、その影響は、日々の為替相場の変動などを通して、否応なしに我々の日常生活レベルにまで及んできている。そして、米国の住宅ローン延滞問題に端を発した世界金融危機や、ギリシャの財政赤字問題からユーロ圏全域の国債格付け引き下げにまで発展してしまった欧州債務危機は、海のはるか向こうで起こった極めてローカルな問題ですら、日本の、しかも海外とは直接的交流のほとんどない地域経済にまで大きな影響を及ぼすことを明らかにしてみせた。 この授業では、異なる主権国家間の、また異なる通貨を通じての、金融・資本取引が、どのような枠組みのもとで、どのように行われてきたか(いるか)、また、米国、欧州の立場が揺らぎ、新興国の台頭が目立つなか、国際金融の枠組みはどのような方向に向かっていくのか、などを私の実務経験等も織り交ぜつつ解説する。 後期の「日本と国際金融Ⅱ」では、戦後のドル本位制、ユーロ、アジア通貨危機、新興国の台頭等、を勉強したあと、いまだに余震の続いている米国発の世界金融危機、そしてギリシャ発の欧州債務危機の背景、現状、今後の行方などについて検討する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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国際的な金融・資本取引の歴史、基本的な枠組み等(制度・取引慣行など)を理解し、国際金融が、国内金融とどのような点で異なり、また、固有の問題解決のためにどのような国際協力が行われてきた(いる)のかを理解すること。国際支援の面で、国際金融が果たしている(果たすべき)役割を理解すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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提出レポート・期末テスト50%、出席・受講姿勢50%を目安として総合的に評価します。レポート・期末テストについては、記述内容の「正確さ」よりも、「いかに自分なりに考えたか」に評価の重点をおきます。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:奥田・神澤『現代国際金融(第2版)』 法律文化社 参考文献:宮﨑哲也『国際金融の基本と仕組みがよ~くわかる本』 秀和システム
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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新聞・テレビ等の経済ニュース、解説等を極力授業内容に関連付けて見るようにしてください。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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言葉(略語も)の意味も含め、分からないこと、疑問に思ったことがあったら、「すぐに調べる」クセを身につけてください。また、経済には数字が付き物です。授業で学んだことを極力統計データにより確かめてください。いずれもwebベースで結構ですが、こうした日頃の積み重ねが後々の結果に繋がります。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 戦後「ドル体制」の変遷(1) 【第2回】 戦後「ドル体制」の変遷(2) 【第3回】 現代の国際金融・資本市場と金融機関(1) 【第4回】 現代の国際金融・資本市場と金融機関(2) 【第5回】 欧州通貨統合とユーロ体制(1) 【第6回】 欧州通貨統合とユーロ体制(2) 【第7回】 資本取引の自由化とエマージング市場国の通貨危機(1) 【第8回】 資本取引の自由化とエマージング市場国の通貨危機(2) 【第9回】 東アジアの為替制度とドル、円、人民元(1) 【第10回】 東アジアの為替制度とドル、円、人民元(2) 【第11回】 アメリカ発の金融危機(1) 【第12回】 アメリカ発の金融危機(2) 【第13回】 欧州債務危機とその波及(1) 【第14回】 欧州債務危機とその波及(2) 【第15回】 まとめ
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