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授業の内容(Course Description) |
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授業では、近代国家日本の政治の歴史をとりあげる。 扱う時期は、日本が近代国家の形成をみていく幕末時代から、第2次大戦後に国際復帰しグローバルパワーとして歩を進める時代までの約1世紀半である。 ところで、いかなる国の内政も国際関係と切り離して考えることはできない。 とくにこの時期の日本の政治は、幕末における西欧との出会いから、日清、日露戦争、2つの世界大戦、敗戦、連合国による占領、独立回復などと、そのときどきの国際環境や他国とのせめぎあいと密接不可分に展開している。 そういう国際環境の変遷とそのなかでの日本の政治体制の展開という視点からみていく予定。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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日本の近代政治についての基本的な知識を身につけたい。 ただ受験勉強のように知識の暗記をめざすのではなく、むしろ手もとにあるいろいろな資料に各自であたりながら、この時期のそのときどきの国際環境の文脈もにらんで日本政治の流れを大きくつかんでいってもらえるようにしたい。 なお、すでに日本の歴史について相当の興味をもっている履修学生もおられると想像する。そういう向きには、興味をいっそう深めてもらい、過去生起した事象の因果関係を探求する姿勢をもって「なぜ」という問いを発しながら臨んでいってもらえたら素晴らしいことと考える。 (「歴史とは、現在と過去の対話である」、「歴史の研究は、原因の研究である。」:E.H.カー著『歴史とは何か』より)
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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成績評価においては、出席を重視する。 前期と、後期において、最低各1回、試験を実施する予定。試験は、出席をしていないと解答が難しく、また聴講の姿勢いかんがそのまま映し出されるような記述式の試験を行う予定。 成績評価の上で、試験の受験自体とその結果に一定の重みは付すが、他方、欠席を重ねたうえで最後に「試験でいい成績をとって起死回生」というがごときは、この授業の評価では起きえない。 そう認識おき願いたい。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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『外交と権力 日本政治史』(北岡伸一:有斐閣)をテキストとする。 これを基軸とし、同時にこのテキストの理解を深めていく意味でも、その他文献も駆使していく考えである。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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近代日本政治史については、膨大な数の文献も刊行されている。 そういうなか、この履修期間中に、時間外も使って上記テキストを最初から終わりまで通読することに努め、なれ親しんでいってもらうよう努めてもらいたい。 ただ時間外学習について留意すべきは、そのうえで欠席するようなことになるのであれば、この授業に関するかぎり、本末転倒。 何はさておいても授業に出て、集中して聴き、配布資料も参照する。 授業あっての時間外学習。 そう認識願いたい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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この授業は、各自が大学生時代という一生の人格形成に貴重な時期に、大きなテーマについて年間を通し体系的に取り組んでいくことが将来の大きな財産になるという考えを基本にしている。 この講義では、前期・後期講義を通して聴講し、休むことなく臨んでもらいたく、それが無理とみとおされる学生には、ロスが大きく中途半端に終わり好ましい結果をもたらさないので、履修は、遠慮願うことが賢明。 授業への出席と、特段の頑張りを願っている。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション(授業の目的と概要) 歴史とは何か 権力と政治 日本の国力 内政と対外関係 【第2回】 江戸封建体制(幕藩体制と幕府による鎖国統制)とその崩壊過程 【第3回】 欧米列強のアジア進出 黒船の浦賀来航 尊攘論 開国論 航海遠略論 【第4回】 大政奉還 王政復古 中央集権国家建設 【第5回】 士族による不満 征韓論 西南戦争 自由民権運動 【第6回】 明治憲法発足 【第7回】 不平等条約改正 【第8回】 衆議院総選挙と議会開会 【第9回】 朝鮮をめぐる清及びロシアとの対立 主権線と利益線 日清戦争 【第10回】 日露戦争 日英同盟 日比谷焼討ち事件 【第11回】 世界の帝国主義時代の構図の変化 日本の大国意識 日韓併合 中国革命 【第12回】 第1次大戦への参戦 対中国21ヵ条要求 【第13回】 ロシア革命 シベリア出兵 【第14回】 平民宰相原敬による政党内閣 大正デモクラシー 元老政治 ヴェルサイユ条約 ワシントン体制 【第15回】 総括 (「日本政治史Ⅰ」の授業の終りにあたり)
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