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授業の内容(Course Description) |
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本演習のテーマは、共生社会のあり方について、社会学的に検討することにある。この20年くらい、人々の関係性をめぐる考え方が注目を集めている。わが国に特有な用語として、多様性、異質性を前提として、葛藤、相克を繰り返しながら共存するという共生をあげることができる。三重野は、「共生社会論Ⅰ」という講義科目を開設しており、本演習の履修者は、同科目を履修していることが望ましいが、必ずしも不可欠な要件ではない。 共生論は、さまざまな領域での共生を扱っている。その意味から、共生社会は、人間社会そのものであるかもしれない。本演習の前半では、三重野卓編『共生社会の理念と実際』を手掛かりに、共生社会の指標体系、さらに障害者との共生、コミュニティにおける共生について、学生に発表してもらう。そのうえで、共生論の長所と短所、共生をめぐるさまざまな論点、批判について紹介する(例、共生における利益の視点の重要性、日本的集団主義と共生論の関係など)。 演習の中期から後期にかけて、学生と相談のうえ、共生論の文献(著書の一部や論文)を選定し、学生に発表してもらう。本演習は、講義「共生社会論Ⅰ」をより深めるものである。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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①各自、それぞれの立場から共生について理解し、問題設定を行えるようになること。 ②本、論文などを探索し、読み方を体得すること。 ③さらに、プレゼンテーション、報告の仕方、そして、議論の仕方を体得すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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成績評価では、出席点、および議論への参加の度合い、さらに実際の演習での発表を総合的に評価する。 また、レポートを提出してもらう。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは、三重野卓編『共生社会の理念と実際』東信堂、2008。その他、参考文献は随時、紹介する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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テキスト、および扱うプリントは、事前に読んで、当日の議論に参加すること。また、学生による報告が多い授業となるため、事前に十分な準備を行い(例えば、関連資料に目を通す)、報告を行うこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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上記の通り、学生の報告の部分が多い授業となるため、積極的な姿勢で演習に参加して欲しい。また、日頃、新聞、雑誌、ネット、テレビなどをみるとき、共生社会の視点から、社会のあり方を検討するように心がけて欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 (イントロダクション) 共生、および、共生社会の定義について、異質性、多様性、葛藤、自省、協働、平等、公平などをキータームとして定式化する。また、演習のアウトラインを示す。 【第2回】 (共生社会の指標体系) 内閣府の報告書「「共に生きる新たな結び合い」の提唱」について、その指標化、数量化の考え方を明らかにする。 【第3回】 (障害者との共生) 健常者と障害者の共生のみならず、さまざまな障害を持っている障害者間の共生が重要な論点になる。ここでは、共生社会政策のユニバーサル・デザインについて検討する。 【第4回】 (コミュニティにおける共生) 共生論において、とりわけ、共生を創造するという視点から、ボランティア活動などについて議論する。 【第5回】 (共生論をめぐる諸議論) 共生論の長所と短所、批判点について、包括的に紹介する。今回は、前掲、三重野編を手掛かりとして、三重野が講義を行う。 【第6回】 (文献の選定、およびテーマの設定) 文献リストを示し、取り扱う文献を学生に選定してもらう。また、学生に興味あるテーマを報告してもらう。各回の司会者を決定する。 【第7回】 (文献講読Ⅰ) 共生をめぐる代表的な文献について、学生にレジメを作成して、発表してもらう。 【第8回】 (文献講読Ⅱ) 【第9回】 (文献講読Ⅲ) 【第10回】 (文献講読Ⅳ) 【第11回】 (文献講読Ⅴ) 【第12回】 (文献講読Ⅵ) 【第13回】 (文献講読Ⅶ) 【第14回】 (文献講読Ⅷ) 【第15回】 (文献講読Ⅸ)。
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