1. |
授業の内容(Course Description) |
|
世界経済は2007年にアメリカで起きたサブプライム・ローン問題をきっかけに「100年に一度」といわれる世界的金融危機に見舞われました。バブルの崩壊は一時の景気後退に止まらず、国が長年にわたって培ってきた経済基盤や社会基盤を根底から覆してしまいかねない極めて深刻な問題です。 日本も平成バブル崩壊後の失われた20年に、「技術立国日本」を支えてきた製造業がリストラの嵐の中で3つの過剰(雇用、設備、債務)の処理に負われ、業務の縮小とともに急速に国際競争力を失いました。そこで「演習Ⅰ・Ⅱ」では世界の歴史上これまで幾度となく各地で繰り返されてきたバブルの崩壊と金融・経済危機の問題を振り返り、バブル発生の歴史と教訓を学び取っていきたいと思います。 前期の「演習Ⅰ」では、大航海期から産業革命期にかけて起きた「世界三大バブル」のほか、第一次世界大戦による景気拡大を遠因とする日本の「昭和金融恐慌」やアメリカのNY株式市場の大暴落(暗黒の木曜日)、さらに「世界大恐慌」などの問題を取り上げます。 後期の「演習Ⅱ」では、第二次大戦後ブレトンウッズ体制下での規制と監督の時代が1970年のニクソンショックを契機に終わりを告げ、その後アメリカを中心に急速に進展した金融自由化の流れの中で、新たな国際的金融危機が頻発するようになった背景とそれにまつわる様々な課題を探ります。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
国際経済社会が経験した様々な金融恐慌事件を通してバブル発生の原因やメカニズムを探るとともに、特に1970年代以降急速に進んだ金融自由化が金融ビジネスの膨張と経済のマネーゲーム化をもたらし、国際規模の金融危機を多発させる要因になった事実を理解する。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
①出席状況、②授業時間中の取り組み姿勢、③期末レポート、による総合評価で採点します。なお期末レポートに関しては、特に以下の点に注意してください。 ・一定の出席率を満たさない者のレポートは受け付けません。 ・ネットからのコピー&ペーストなど論文作成上の基本ルールを無視したレポートは評価対象としません。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
【テキスト】特に指定しません。 【参考文献】①チャンセラー『バブルの歴史』日経BP、②ガルブレイス『バブルの物語』ダイヤモンド社、③ガルブレイス『大暴落1929』日経BPクラシックスなど。その他の参考文献は、講義の都度紹介します。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
講義の際に紹介する文献等をできるだけ手に取り読んで、理解を深めてください。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
単に授業を聞くだけでなく、講義を通して自身の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献や統計データに直接あたって調べたり確認てみるといった積極的な姿勢を期待します。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
概ね以下のようなテーマで授業を進めていく予定です。講義が軸となりますが、毎回配布する資料や関連ビデオなどを教材にしたディスカッション、輪読発表なども適宜行う予定です。 【第1回】 バブルの発生と崩壊 【第2回】 世界三大バブル(チューリップ狂) 【第3回】 世界三大バブル(南海会社バブルとミシシッピバブル) 【第4回】 産業革命とイギリスのバブル 【第5回】 アメリカ金メッキ時代 【第6回】 第一次大戦とNY株式バブル 【第7回】 暗黒の木曜日 【第8回】 世界大恐慌 【第9回】 ニューディール政策 【第10回】 第二次大戦とブレトンウッズ体制 【第11回】 ニクソンショックと規制・監督の時代の終わり 【第12回】 リスクの時代の始まりとデリバティブ革命 【第13回】 アメリカ金融自由化とS&L危機 【第14回】 M&Aと投資銀行の暴走 【第15回】 アメリカ資本主義の勝利
|