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授業の内容(Course Description) |
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教育学部に入学された皆さんは、おそらく「子ども」に興味を持っていることでしょう。しかし、「子ども」とはいったいどういうものでしょうか。本科目では、まず、皆さん自身の内なる「子どもイメージ」について点検し、新たに「子ども」について考えた上で、子どもの発達と教育・保育について学んでいきます。 具体的には、幼稚園や保育所での子どもの様子を映像で視聴したり、子どもの表現した資料や保育者の保育記録を読み、子どもの発達の姿とそれを支える保育者の働きかけや環境について学び、様々な保育の中で、子どもの内にどの様な力が育っていくのかについて考えます。次に、保育の歴史や諸外国の保育を知ったうえで、現在わが国の保育の現状と課題を学びます。最後に、各自が望ましい保育についての考えを深め、自分が子どもに関わるときに身につけておきたいことは何か考えます。 同時に、保育に欠かせない「絵本」や「おもちゃ」についても学んでいきます。 教育学部の1年次開講専門科目として、子どもをどう見るか、幼児の教育とはどういうことかを考え、これから先、教育について学んでいく導入になることを願っています。また、上級学年で履修する方にとっては、自分の子ども観や教育観を振り返ったり、教育学の他領域と幼児教育の関連を検討することができるようにと考えています。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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①自分の「子ども」観をふり返るとともに、様々な「子ども観」があることに気付き、認めることができる。 ②乳児期から就学までの子どもの保育所・幼稚園での発達の様相、それを支える保育者の働きと仲間の存在、子どもを取り巻く環境について知る。 ③映像や保育記録から保育のねらいと具体的なその手立てについて理解できる。 ④保育の歴史と諸外国の保育の様子を知り、現在のわが国の保育の現状と課題をとらえることが出来る。 ⑤将来子どもに関わる者として、自分が育んでいくことが望ましい資質を認識することができる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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授業への参加と授業中の提出物(毎回の感想と授業内小レポート40%)と期末のテスト(60%)を合わせて評価します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:『幼稚園教育要領 平成20年3月告示』文部科学省、『保育所保育指針 平成20年告示』フレーベル館 参考文献:森上史朗 編『保育原理』ミネルヴァ書房、守永英子他『保育の中の小さなこと大切なこと』フレーベル館 上記以外はその都度紹介していきます。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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①日常生活の中で子どもに関心を向け、子どもを眺めて下さい。 ②「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」以外にテキストは用いませんので、配布プリントをファイルし、毎時間の授業内容を振り返り、ノートにまとめて下さい。 ③宿題が数回出ますが、しっかりと考え、丁寧に仕上げて下さい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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単に講義を聞くだけの受身の授業にはしたくないと考えています。受講生1人1人が、提示された資料や映像などを敏感に感じとり、自分の内で考えをふくらませたり深めたり、主体的に取り組んで下さい。また、グループで話し合ったり、全体で意見の交換をします。積極的に参加し、他者の意見に触れ、自分の見方を広げていって下さい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ①導入:「子ども」とは:20答法により各自の子どもイメージを探る。②受講上の注意 【第2回】 ①「子ども」概念の発生:子どもは小さな大人か?②西洋の子ども概念の発生と変遷 ③日本の子ども観の特徴 【第3回】 子どもの発達の姿(1)0・1・2歳児:保育園の子どもの様子の映像を視聴し、発達の様子を具体的に知る。さらに、子どもに何が育って欲しいか、またそれを支える保育者の働きかけを考える。 【第4回】 子どもの発達の姿(2)3・4・5歳児:同上 【第5回】 様々な保育・教育の実態を知る(1):各自が体験した園生活について話し合い、幼稚園と保育所の違い、個々の園の特徴、地域による特色などを具体的に理解する。 【第6回】 様々な保育・教育の実態を知る(2):幼稚園生活の映像を視聴し、遊びの中での子どもの成長を具体的に学ぶ。幼稚園教育要領の「遊びを通しての指導」について理解する 【第7回】 様々な保育・教育の実態を知る(3):幼稚園生活の映像を視聴し、具体的な幼稚園の一日の流れ、「環境を通した教育」について学ぶ。幼稚園教育要領の理念を確認する。 【第8回】 様々な保育・教育の実態を知る(4):幼稚園生活の映像を視聴し、幼稚園教育要領に示された5領域のねらいが実際にどのように実現されているのかを知る。 【第9回】 様々な保育・教育の実態を知る(5):保育園生活の映像を視聴し、1年を通しての保育の様子を具体的に学ぶ。保育所保育指針を読む。 【第10回】 様々な保育・教育の実態を知る(6):対照的な2つの保育園の映像を視聴し、保育方法の違いを学ぶ。 【第11回】 保育の歴史を知る(1):①西欧における集団保育施設の誕生 ②フレーベルの幼児教育思想と幼稚園 【第12回】 保育の歴史を知る(2):①恩物で遊んでみよう。②フレーベルの思想とフレーベル主義 【第13回】 保育の歴史を知る(3):①アメリカにおける幼稚園の発展と改革 ②我が国における集団保育施設の誕生と発展 ③我が国の保育の現状と課題 【第14回】 子ども理解を進める(1):子どもが表現した資料から、子どもの感性、子どものものの見方、考え方を知る。 【第15回】 子ども理解を進める(2):前回の感想を交換し合い、子どもの表現の背景を知る。 まとめ:①春期に学んだことを確認する。 ②再び、「子どもは・・・」20答法により各自の子どもイメージの変化を探る。 上記以外に、できるだけ多く、保育の教材としての優れた絵本も味わっていきます。 注:受講生の状態や進度によって、予定を変更することがあります。
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